神経系統の機能又は精神の後遺障害で多い等級
- 神経系統の機能又は精神の後遺障害で多い等級は?
神経系統の機能又は精神の後遺障害で多い等級は、介護を要する後遺障害1級、介護を要する後遺障害2級、後遺障害3級、後遺障害5級、後遺障害7級、後遺障害9級、後遺障害12級、後遺障害14級などです。
神経系統の機能又は精神の後遺障害の種類
- 神経系統の機能又は精神の後遺障害の種類は?
「神経系統の機能又は精神」に関する後遺障害には、脳の障害(「高次脳機能障害」(器質性精神障害)と「身体性機能障害」(神経系統の障害))、非器質性精神障害、脊髄損傷、外傷性てんかん、疼痛等感覚障害、外傷性てんかん、頭痛、失調、めまいおよび平衡機能障害などがあります。
詳細は、下記でご確認ください。
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神経系統の機能又は精神の後遺障害には、主に脳の障害(「高次脳機能障害」(器質性精神障害)と「身体性機能障害」(神経系統の障害))、非器質性精神障害、脊髄損傷、疼痛等感覚障害(疼痛・疼痛以外の感覚障害・カウザルギー・反射性交感神経性ジストロフィー(RSD))、外傷性てんかん、頭痛、失調、めまいおよび平衡機能障害などがあります。
「神経」とは
- 「神経」とは?
「神経」とは、身体の器官の機能を連結して制御している系統立った器官をさします。身体中に網の目のようにネットワークを持っている末梢神経と、末梢神経が集まる中枢神経とに分かれます。
神経系統又は精神の障害
神経系統の機能又は精神に後遺症が残った場合に、後遺障害と認定される基準は下表の通りです。
等級の詳細 | 解剖学的部位 | 後遺障害の程度 | 該当する基準 |
介護を要する後遺障害1級1号 | 神経系統の機能又は精神 | 神経系統の機能又は精神に著しい障害を残し、常に介護を要するもの | 生命維持に必要な身のまわり処理の動作について常時介護を要するもの |
介護を要する後遺障害2級1号 | 神経系統の機能又は精神 | 神経系統の機能又は精神に著しい障害を残し、随時介護を要するもの | 生命維持に必要な身のまわり処理の動作について随時介護を要するもの |
後遺障害3級3号 | 神経系統の機能又は精神 | 神経系統の機能又は精神に著しい障害を残し、終身労務に服することができないもの | 生命維持に必要な身のまわり処理の動作は可能であるが、労務に服することができないもの |
後遺障害5級2号 | 神経系統の機能又は精神 | 神経系統の機能又は精神に著しい障害を残し、特に軽易な労務以外の労務に服することができないもの | 極めて軽易な労務にしか服することができないもの |
後遺障害7級4号 | 神経系統の機能又は精神 | 神経系統の機能又は精神に障害を残し、軽易な労務以外の労務に服することができないもの | 軽易な労務にしか服することができないもの |
後遺障害9級10号 | 神経系統の機能又は精神 | 神経系統の機能又は精神に障害を残し、服することができる労務が相当な程度に制限されるもの | 通常の労務に服することはできるが、就労可能な職種が相当程度に制約されるもの |
局部の神経系統の障害
等級の詳細 | 解剖学的部位 | 後遺障害の程度 | 該当する基準 |
後遺障害12級13号 | 神経系統の機能又は精神 | 局部に頑固な神経症状を残すもの | 通常の労務に服することはでき、職種制限も認められないが、時には労務に支障が生じる場合があるもの |
後遺障害14級9号 | 神経系統の機能又は精神 | 局部に神経症状を残すもの | 第12級よりも軽度のもの |
脳の障害とは
脳の障害で後遺症が残った場合に、後遺障害と認定される基準について詳細をご説明します。器質的損傷による器質性障害と、器質的損傷によらない非器質性精神障害に分かれます。
脳の障害(器質性の障害)
脳の器質性障害は、「高次脳機能障害」(器質性精神障害)と「身体性機能障害」(神経系統の障害)に分かれます。
「脳の器質性障害」とは
- 「脳の器質性障害」とは?
「脳の器質性障害」とは、脳外傷などで生じる脳の構造や機能の障害です。
高次脳機能障害について
高次脳機能障害の詳細は、下記の高次脳機能障害専門サイトでご確認ください。
脳の障害による身体性機能障害について
- 身体性機能障害とは?
身体性機能障害とは、頭部(脳)外傷により、両手や両足が全部麻痺したり(四肢麻痺)、上肢もしくは下肢のいずれかに限局した麻痺(単麻痺)が残ったり、身体の左右どちらか半身が麻痺する(片麻痺)など、四肢等に麻痺が残ることがあります。これを脳の障害による身体性機能障害と呼びます。
交通事故での脳の障害による身体機能障害の後遺障害等級認定にあたっては、
- 麻痺の範囲(四肢麻痺、片麻痺、単麻痺。動障害の程度をもって判断します)
- 程度(高度、中等度、軽度)
- 介護の有無や程度
に基づいて障害等級を決定します。
ただし、運動性、支持性、巧緻性、速度についての支障がほとんど認められない程度の麻痺については、軽度の麻痺に含めず、第12級13号として認定します。
麻痺の範囲や程度については、身体的な所見やMRI、CTなどによって確認できることが必要です。
麻痺の原因が脳の障害ではなく、脊髄損傷の場合
麻痺が生じる原因が脊髄損傷の場合は、脊髄損傷の後遺障害等級認定基準をご確認ください。麻痺の範囲などによる要件の表現が似ていますが、原因が脳の障害による身体性機能障害ではなく頸髄などの脊髄神経の損傷(脊髄損傷)の場合は等級等が異なる場合があります。
脳の障害による身体性機能障害の後遺障害等級認定基準
脳の障害による身体機能障害の後遺障害等級認定基準は下表の通りです。
等級の詳細 | 解剖学的部位 | 後遺障害の程度 | 該当するもの |
介護を要する後遺障害1級1号 | 神経系統の機能又は精神 | 身体性機能障害のため、生命維持に必要な身のまわり処理の動作について、常に他人の介護を要するもの | ・高度の四肢麻痺 ・中等度の四肢麻痺であって、食事・入浴・用便・更衣等について常時介護を要す場合 ・高度の片麻痺で、食事・入浴・用便・更衣等について常時介護を要す場合 |
介護を要する後遺障害2級1号 | 神経系統の機能又は精神 | 身体性機能障害のため、生命維持に必要な身のまわり処理の動作について、随時介護を要するもの | ・高度の片麻痺 ・中等度の四肢麻痺で、食事・入浴・用便・更衣等について随時介護を要す場合 |
後遺障害3級3号 | 神経系統の機能又は精神 | 生命維持に必要な身のまわり処理の動作は可能であるが、身体性機能障害のため、労務に服することができないもの | 中等度の四肢麻痺(上記の「高度の四肢麻痺」または「中等度の四肢麻痺であって、食事・入浴・用便・更衣等について常時介護を要す場合」に該当するものを除く)が認められるもの |
後遺障害5級2号 | 神経系統の機能又は精神 | 身体性機能障害のため、きわめて軽易な労務のほか服することができないもの | ・軽度の四肢麻痺 ・中等度の片麻痺 ・高度の単麻痺 |
後遺障害7級4号 | 神経系統の機能又は精神 | 身体性機能障害のため、軽易な労務以外には服することができないもの | ・軽度の片麻痺 ・中等度の単麻痺 |
後遺障害9級10号 | 神経系統の機能又は精神 | 通常の労務に服することはできるが、身体性機能障害のため、社会通念上、その就労可能な職種の範囲が相当な程度に制限されるもの | ・軽度の単麻痺 |
後遺障害12級13号 | 神経系統の機能又は精神 | 通常の労務に服することはできるが、身体性機能障害のため、多少の障害を残すもの | ・運動性、支持性、巧緻性及び速度についての支障がほとんど認められない程度の軽微な麻痺を残す場合 ・運動障害は認められないものの、広範囲にわたる感覚障害が認められる場合 |
麻痺の程度について
麻痺の程度には、高度、中等度、軽度の3つがあります。
・高度の場合は、障害のある上肢または下肢の運動性・支持性がほとんど失われ、基本動作ができません。完全強直またはそれに近い状態です。
・中等度の場合は、相当程度失われ、基本動作に制限があります。
・軽度の場合は、多少失われており、巧緻性及び速度が損なわれています。
それぞれ、具体的な症状や制限があります。
「麻痺が高度」とは
- Q「麻痺が高度」とは?
- A
「麻痺が高度」とは、障害のある上肢又は下肢の運動性・支持性がほとんど失われ、障害のある上肢又は下肢の基本動作(下肢においては歩行や立位、上肢においては物を持ち上げて移動させること)ができない状態を指します。
具体的には以下の状態を指します。- 完全強直又はこれに近い状態にあるもの
- 上肢においては、3大関節及び5つの手指のいずれの関節も自動運動によっては可動させることができないもの、またはこれに近い状態にあるもの
- 下肢においては、3大関節のいずれも自動運動によっては可動させることができないもの、またはこれに近い状態にあるもの
- 上肢においては、随意運動に顕著な障害があり、障害を残した一上肢では物を持ち上げて移動させることができないもの
- 下肢においては、随意運動に顕著な障害があり、一下肢の支持性及び随意的な運動性をほとんど失ったもの
麻痺が中等度とは
- Q「麻痺が中等度」とは?
- A
「麻痺が中等度」とは、障害のある上肢又は下肢の運動性・支持性が相当程度失われ、障害のある上肢又は下肢の基本動作にかなりの制限があるものをさします。
具体的には、以下のようなものが該当します。- 上肢において、障害を残した一上肢では概ね500g程度の軽量物を持ち上げることができないもの、または文字を書くことができないもの
- 下肢において、障害を残した一下肢を有するため、杖若しくは硬性装具なしには階段を上ることができないもの、または障害を残した両下肢を有するため、杖若しくは硬性装具なしには歩行が困難であるもの
麻痺が軽度とは
- Q「麻痺が軽度」とは?
- A
「麻痺が軽度」とは、障害のある上肢又は下肢の運動性・支持性が部分的に失われ、障害のある上肢又は下肢の基本動作を行う際の巧緻性及び速度がやや低下しているものを指します。
例えば、以下のようなものが含まれます。- 上肢においては、障害を残した一上肢での文字を書くことに苦労するもの
- 下肢においては、通常は独歩できるが、障害を残した一下肢を有するため不安定で転倒しやすく、速度も遅いもの、または障害を残した両下肢を有するため杖若しくは硬性装具なしには階段を上ることができないもの
脳の障害(非器質性精神障害)について
脳の障害のうち、器質的損傷を伴わないものを、「非器質性精神障害」とよびます。鬱(ウツ)やPTSD(心的外傷後ストレス障害。Post Traumatic Stress Disorder)などです。
非器質性精神障害の後遺障害が残っているといえる要件
非器質性精神障害の後遺障害が残っているというためには、下表Aの精神症状を1つ以上残して、かつ、Bの能力に関する判断項目のうち1つ以上の能力について障害が認められることが必要です。
A 精神症状 | 抑うつ状態 不安の状態 意欲低下の状態 慢性化した幻覚・妄想性の状態 記憶又は知的能力の障害 その他の障害(衝動性の障害、不定愁訴など) |
B 能力 | (1)身辺日常生活 (2)仕事・生活に積極性・関心を持つこと (3)通勤・勤務時間の遵守 (4)普通に作業を持続すること (5)他人との意思伝達 (6)対人関係・協調性 (7)身辺の安全保持、危機の回避 (8)困難・失敗への対応 |
引用:神経系統の機能又は精神の障害に関する障害等級認定基準(*)
就労意欲の低下等による区分
記号 | 区分 | 説明 |
C | 就労している者または就労の意欲のある者 | Aの「精神症状」の1つ以上が認められる場合、Bの「能力」のそれぞれについて、その有無及び助言や援助の程度によって障害等級を認定します |
D | 就労意欲の低下または欠落により就労していない者 | 身辺日常生活が可能である場合に、B「能力」の「身辺日常生活」の支障の程度により認定します |
非器質性精神障害の程度に応じた認定
非器質性精神障害の等級認定は、下表の9級~14級となります。
等級の詳細 | 解剖学的部位 | 後遺障害の程度 | 該当する基準 |
後遺障害9級10号 | 神経系統の機能又は精神 | 通常の労務に服することはできるが、非器質性精神障害のため、就労可能な職種が相当な程度に制限されるもの | ・区分Cに該当する場合には、B「能力」(2)から(8)のいずれか1つの能力が失われているもの、またはB「能力」の4つ以上についてしばしば助言・援助が必要と判断される障害を残している場合 または ・区分Dに該当する場合には、身辺日常生活について時に助言・援助を必要とする程度の障害が残存しているもの |
後遺障害12級13号 | 神経系統の機能又は精神 | 通常の労務に服することはできるが、非器質性精神障害のため、多少の障害を残すもの | ・区分Cに該当する場合は、B「能力」の4つ以上について時に助言・援助が必要と判断される障害を残しているもの または ・区分Dに該当する場合には、身辺日常生活を適切または概ねできるもの |
後遺障害14級9号 | 神経系統の機能又は精神 | 通常の労務に服することはできるが、非器質性精神障害のため、軽微な障害を残すもの | ・B「能力」の1つ以上について時に助言・援助が必要と判断される障害を残しているもの |
重い症状を残している者(B「能力」のうち(1)が失われている者またはB「能力」のうち(2)から(8)のいずれか2つ以上の能力が失われている者)は、症状に大きな改善が認められない状態に一時的に達した場合であっても、原則として療養を継続することとされています。
脊髄損傷(せき髄損傷)
脊髄損傷(せき髄損傷)の詳細は、下記の脊髄損傷害専門サイトでご確認ください。
外傷性てんかん
「外傷性てんかん」とは
- 「外傷性てんかん」とは?
「外傷性てんかん」とは、脳の外傷によって引き起こされる、反復するてんかん発作を主症状とする慢性の脳障害のことを指します。
外傷性てんかんで多い後遺障害等級
外傷性てんかんは、脳挫傷、頭蓋骨骨折、外傷性脳損傷などの脳外傷によってひきおこされます。
「てんかん」について
まず、てんかんは、原因が不明な「特発性てんかん」と、交通事故の脳外傷などで起こる「症候性てんかん」に分かれます。
- 特発性てんかん
- 症候性てんかん(交通事故の外傷性てんかんなど)
さらに原因と発作の種類(部分発作・全般発作)により、「特発性部分てんかん」、「特発性全般てんかん」、「症候性部分てんかん」、「症候性全般てんかん」などに分かれます。
- 特発性部分てんかん
- 特発性全般てんかん
- 症候性部分てんかん
- 症候性全般てんかん
また、外傷後のけいれんは、発生時期によって下表のように分類されます。
けいれんの発生時期(受傷後日数) | 型 |
受傷後24時間以内 | 即時てんかん(immediate epilepsy) |
受傷後7日以内 | 急性症候性発作(acute symptomatic seizure) |
受傷後8日以降 | 晩発性てんかん(late onset epilepsy) |
外傷性てんかんは、晩期てんかんを指すことが多いです。
外傷性てんかんの診断
Walkerの診断基準は、下記のようになります。
- 発作はまさしくてんかん発作である
- 受傷前にてんかん発作はなかった
- 外傷は脳損傷を起こすのに十分な程度の強さであった
- てんかん発作の初発が外傷後あまり経過していない時期に起こった(閉鎖性で2年、開放性で10年。2年以内に80%以上が発症)
- ほかにてんかん発作を起こすような脳や全身的疾患を有しない
- てんかんの発作型、脳波所見が脳損傷部位と一致している
てんかんの診断では
- 発作の型の特定
- 脳波検査
などが重要で、MRIやCTなどの画像診断が有用です。
外傷性てんかん後遺障害等級認定
「外傷性てんかん」の後遺障害等級認定は、下表の通りです。
等級の詳細 | 解剖学的部位 | 後遺障害の程度 |
後遺障害5級2号 | 神経系統の機能又は精神 | 1ヵ月に1回以上の発作があり、かつ、その発作が「意識障害の有無を問わず転倒する発作」又は「意識障害を呈し、状況にそぐわない行為を示す発作」であるもの |
後遺障害7級4号 | 神経系統の機能又は精神 | 転倒する発作等が数ヶ月に1回以上あるもの又は転倒する発作等以外の発作が1ヵ月に1回以上あるもの |
後遺障害9級10号 | 神経系統の機能又は精神 | 数ヵ月に1回以上の発作が転倒する発作等以外の発作であるもの又は服薬継続によりてんかん発作がほぼ完全に抑制されているもの |
後遺障害12級13号 | 神経系統の機能又は精神 | 発作の発現はないが、脳波上に明らかにてんかん性棘波を認めるもの |
注:1ヵ月に2回以上の発作がある場合
1ヵ月に2回以上の発作がある場合は、通常、高度の高次脳機能障害を伴っていると考えられます。その場合は下表のような高次脳機能障害の認定基準で後遺障害等級の認定がされます。
等級の詳細 | 解剖学的部位 | 後遺障害の程度 |
介護を要する後遺障害1級1号 | 神経系統の機能又は精神 | 神経系統の機能又は精神に著しい障害を残し、常に介護を要するもの |
介護を要する後遺障害2級1号 | 神経系統の機能又は精神 | 神経系統の機能又は精神に著しい障害を残し、随時介護を要するもの |
後遺障害3級3号 | 神経系統の機能又は精神 | 神経系統の機能又は精神に著しい障害を残し、終身労務に服することができないもの |
高次脳機能障害について詳細は、高次脳機能障害の専門サイトをご確認ください。
疼痛等感覚障害
疼痛等感覚障害とは
- Q疼痛等感覚障害とは?
- A
疼痛等感覚障害とは、交通事故外傷により、疼痛、腫脹、自律神経症状などの感覚障害が生じている状態を指します。
疼痛とは
- 疼痛とは?
疼痛とは、焼けるような痛みのことで「実質的な組織の損傷により誘発される不快な感覚的、感情的体験(*)」をさします。
疼痛等感覚障害で多い後遺障害等級
交通事故で受傷した部位の疼痛について、後遺障害の認定基準は下表の通りです。
等級の詳細 | 解剖学的部位 | 後遺障害の程度 |
後遺障害12級13号 | 神経系統の機能又は精神 | 通常の労務に服することはできるが、時には強度の疼痛のため、ある程度差し支えがあるもの |
後遺障害14級9号 | 神経系統の機能又は精神 | 通常の労務に服することはできるが、受傷部位にほとんど常時疼痛を残すもの |
疼痛以外の感覚障害
交通事故で受傷した部位の疼痛については、後遺障害の認定基準は下表の通りです。
疼痛以外の感覚障害で多い後遺障害等級
- 疼痛以外の感覚障害で多い後遺障害等級は?
疼痛以外の感覚障害で多い後遺障害等級は、後遺障害14級です。
等級の詳細 | 解剖学的部位 | 後遺障害の程度 |
後遺障害14級9号 | 神経系統の機能又は精神 | 受傷部位の疼痛及び疼痛以外の感覚障害について、疼痛以外の異常感覚(蟻走感、感覚脱失等)が発現した場合で、その範囲が広いもの |
カウザルギー
カウザルギーで多い後遺障害等級
カウザルギーについて、疼痛の部位、性状、疼痛発作の頻度、疼痛の強度と持続時間および日内変動並びに疼痛の原因となる他覚的所見などにより、疼痛の労働能力に及ぼす影響を判断して、後遺障害の認定基準がされます。
等級の詳細 | 解剖学的部位 | 後遺障害の程度 |
後遺障害7級4号 | 神経系統の機能又は精神 | 軽易な労務以外の労働に常に差し支える程度の疼痛があるもの |
後遺障害9級10号 | 神経系統の機能又は精神 | 通常の労務に服することはできるが、疼痛により時には労働に従事することができなくなるため、就労可能な職種の範囲が相当な程度に制限されるもの |
後遺障害12級13号 | 神経系統の機能又は精神 | 通常の労務に服することはできるが、時には労働に差し支える程度の疼痛が起こるもの |
反射性交感神経性ジストロフィー(RSD)
反射性交感神経性ジストロフィー(RSD)で多い後遺障害等級
反射性交感神経性ジストロフィー(RSD)について、下記の3つのいずれの症状も健側と比較して明らかに認められる場合に限り、カウザルギーと同様の基準で評価されます。
- 関節拘縮
- 骨の萎縮4
- 皮膚の変化(皮膚温の変化、皮膚の萎縮)
要件を満たす場合の反射性交感神経性ジストロフィー(RSD)の後遺障害の認定基準は下表の通りです。
等級の詳細 | 解剖学的部位 | 後遺障害の程度 |
後遺障害7級4号 | 神経系統の機能又は精神 | 軽易な労務以外の労働に常に差し支える程度の疼痛があるもの |
後遺障害9級10号 | 神経系統の機能又は精神 | 通常の労務に服することはできるが、疼痛により時には労働に従事することができなくなるため、就労可能な職種の範囲が相当な程度に制限されるもの |
後遺障害12級13号 | 神経系統の機能又は精神 | 通常の労務に服することはできるが、時には労働に差し支える程度の疼痛が起こるもの |
CRPS(複合性局所疼痛症候群。Complex RegionalPain Syndrome)について
CRPSとは
- CRPSとは?
CRPSとは、反射性交感神経性ジストロフィー(RSD)、カウザルギー(causalgia)、肩手症候群などの総称です。
外傷後の疼痛や腫脹を生じていたことに対し、反射性交感神経性ジストロフィー(RSD)やカウザルギー(causalgia)、肩手症候群など、色々な名称で呼ばれていたものを、1994年の世界疼痛学会が統一した名称として「CRPS(複合性局所疼痛症候群)」としました(*)。
頭痛
頭痛について
頭痛で多い後遺障害等級
頭痛の分類
頭痛には、下表のような大きく2~3の型に分類されます。機能性頭痛と症候性頭痛に大きくわかれます。症候性頭痛は、頭部外傷や脳血管障害などの器質的疾患が原因で起きる頭痛です。
頭痛の分類 | 詳細 |
機能性頭痛 | 片頭痛 |
緊張型頭痛 | |
群発頭痛および慢性発作性片頭痛 | |
その他の非器質性頭痛 | |
症候性頭痛 | 頭部外傷による頭痛 |
血管障害に伴う頭痛 | |
非血管性頭蓋内疾患に伴う頭痛 | |
薬物あるいは離脱に伴う頭痛 | |
頭部以外の感染症による頭痛 | |
代謝性疾患に伴う頭痛 | |
頭蓋骨、頸眼、鼻、副鼻腔、歯、口あるいは他の頭部・頭蓋組織に起因する頭痛または顔面痛 | |
頭部神経痛神経幹痛除神経後痛 | |
その他 | 分類不能な頭痛 |
緊張型頭痛とは
- 緊張型頭痛とは?
緊張型頭痛とは、首や肩こりと一緒に、頭が締めつけられるように痛む頭痛です。
ただし、交通事故による頭痛の後遺障害等級認定においては、上表の頭痛の型や分類にかかわらず、疼痛が労働や日常生活にどの程度支障をきたすかを、疼痛の部位、性状、強度、頻度、持続時間、日内変動、そして疼痛の原因となる他覚的所見に基づいて把握し、以下の基準で等級認定が行われます。
頭痛の後遺障害等級
頭痛で後遺障害等級が認定される基準は、下表の通りです。
等級の詳細 | 解剖学的部位 | 後遺障害の程度 |
後遺障害9級10号 | 神経系統の機能又は精神 | 通常の労務に服することはできるが激しい頭痛により、時には労働に従事することができなくなる場合があるため、就労可能な職種の範囲が相当な程度に制限されるもの |
後遺障害12級13号 | 神経系統の機能又は精神 | 通常の労務に服することはできるが、時には労働に差し支える程度の強い頭痛がおこるもの |
後遺障害14級9号 | 神経系統の機能又は精神 | 通常の労務に服することはできるが、頭痛が頻回に発現しやすくなったもの |
交通事故の頭部外傷で気をつけたい頭痛
頭部外傷後に気をつけたい頭痛には、例えば下記のような症状があります。
- 今までにない、激しい頭痛
- 頭痛が断続的に続いている
- 頭痛が日々増していく
- めまい・吐き気
- 半身が麻痺している(片麻痺)
- 言語障害
- 耳や鼻から血の混じった水が出た
- 高熱がある
- 首を振ると痛みが増す
- 手足のしびれ・歩行障害がある
などの症状です。
危険な頭痛
交通事故外傷で頭痛が残ったら、後遺障害等級の認定をとることはとても大切なことです。
ただ頭痛には、一刻も早く病院にいくべき危険な頭痛もあります。もしも下表のような頭痛であれば、後遺障害等級認定の手続きとは別に、できるだけ早く病院に行き医師に相談しましょう。
注意したいこと | 危険な頭痛 |
くも膜下出血 | 頭をバットで殴られたような強い痛みや吐き気(はきけ)・嘔吐(おうと)などの症状 |
脳腫瘍 | 頭全体や一部分の重い感じや鈍痛が徐々に悪化していき、吐き気がないのに突然吐く(はく)ような症状 |
髄膜炎 | 頭全体、特に後頭部が強い痛みを伴い、うなじが硬くなって体を動かすと痛みが増す場合や、38~39℃の発熱がある場合 |
脳出血 | 頭痛や吐き気に加えて手足がしびれたり感覚が鈍ったり動かせなくなる症状がある場合や、意識がぼんやりして、ろれつが回らないような症状がある場合 |
慢性硬膜下血腫 | 以前頭を打ったことがあり、頭痛のほかに手足の麻痺や、物忘れ、歩行障害、尿失禁などがある |
失調、めまい及び平衡機能障害
失調、めまい及び平衡機能障害で多い後遺障害等級
頭部外傷後や、中枢神経系(脳や脊髄)の疾患による失調、めまい、及び平衡機能障害
内耳機能だけでなく、小脳、脳幹部、前頭葉、脊髄などの中枢神経系の障害によっても引き起こされることが多いです。また、頸部の自律神経障害によるめまいも珍しくありません。
失調、めまい及び平衡機能障害の後遺障害等級
失調、めまい及び平衡機能障害で後遺障害等級が認定される基準は、下表の通りです。
等級の詳細 | 解剖学的部位 | 後遺障害の程度 |
後遺障害3級3号 | 神経系統の機能又は精神 | 生命の維持に必要な身のまわり処理の動作は可能であるが、高度の失調又は平衡機能障害のために労務に服することができないもの |
後遺障害5級2号 | 神経系統の機能又は精神 | 著しい失調又は平衡機能障害のために、労働能力がきわめて低下し一般平均人の1/4程度しか残されていないもの |
後遺障害7級4号 | 神経系統の機能又は精神 | 中等度の失調又は平衡機能障害のために、労働能力が一般平均人の1/2以下程度に明らかに低下しているもの |
後遺障害9級10号 | 神経系統の機能又は精神 | 通常の労務に服することはできるが、めまいの自覚症状が強く、かつ、眼振その他平衡機能検査に明らかな異常所見が認められ、就労可能な職種の範囲が相当な程度に制限されるもの |
後遺障害12級13号 | 神経系統の機能又は精神 | 通常の労務に服することはできるが、めまいの自覚症状があり、かつ、眼振その他平衡機能検査の結果に異常所見が認められるもの |
後遺障害14級9号 | 神経系統の機能又は精神 | めまいの自覚症状はあるが、眼振その他平衡機能検査の結果に異常所見が認められないものの、めまいのあることが医学的にみて合理的に推測できるもの |
「眼振」とは
- 「眼振」とは?
眼振とは、けいれんするように眼球が揺れたり動くことです。
めまい・平衡機能障害の検査
めまい・平衡機能障害の検査としては、フレンツェル眼鏡の検査、電気眼振図検査、重心動揺検査、足踏み検査などです。
神経系統の機能又は精神の後遺障害等級認定における必要書類
基本
後遺障害の等級認定においては、基本的に下記の書類は必須です。
経過診断書
後遺障害障害診断書
各種医証(レントゲン画像・MRI画像など)
神経系統の機能または精神の後遺障害の場合、加えて下記のような書類が必要な場合があります。
具体的な状況で、さらに書類が必要な場合も多くあるという点はご留意ください。
後遺障害等級認定の準備の際は、弁護士法人サリュの無料相談をご利用いただき、弁護士にお客様にとって必要な具体的書類をご質問ください。
高次脳機能障害の場合
高次脳機能障害の書類例は、以下の通りです。
- 頭部外傷後の意識障害についての所見(*)
- 脳損傷又はせき髄損傷による障害の状態に関する意見書
- 神経系統の障害に関する医学的意見
- 日常生活状況報告書
高次脳機能障害の立証は簡単でないケースが多いです。医証等書類がこの他に必要な場合も多くあります。どうぞお気軽に高次脳機能障害の解決実績が豊富な弁護士法人サリュの無料相談をご利用ください。
脊髄損傷の場合
脊髄損傷の書類例は、以下の通りです。
- 脊髄症状判定用
脊髄損傷の立証が簡単でないケースもあります。医証等書類がこの他に必要な場合も多くあります。どうぞお気軽に脊髄損傷の解決実績が豊富な弁護士法人サリュの無料相談をご利用ください。
むちうちの場合
むちうちの書類例は、以下の通りです。
- 神経学的所見の推移について
- 頚椎捻挫・腰椎捻挫の症状の推移について
むちうちで12級や14級を立証するのが簡単でないケースがあります。医証等書類がこの他に必要な場合も多くあります。どうぞお気軽に後遺障害12級や後遺障害14級のむちうちの解決実績が豊富な弁護士法人サリュの無料相談をご利用ください。
非器質性精神障害の場合
- PTSDの診断基準
- 非器質性精神障害にかかる所見について
などです。
無料相談をご利用いただいたからといって、無理に依頼をすすめたりいたしません。お気軽にサリュの無料相談をご利用ください。
神経系統の機能又は精神に後遺障害が残りそうな場合、弁護士にお問い合わせください
- 神経系統の機能又は精神に後遺障害が残った場合、弁護士に依頼した方が良いですか?
神経系統の機能又は精神に後遺症が残ると介護を要する後遺障害1級~後遺障害14級の後遺障害等級となる可能性があります。その場合交通事故を弁護士に依頼された方が加害者側からお手元に入ってくる金額が大きく増える可能性が高いです。ぜひ弁護士にご依頼をされた方が良いと考えます。弁護士法人サリュでは眼の後遺障害に詳しい弁護士が無料相談を行っています。どうぞお気軽にお問い合わせください。
神経系統の機能又は精神に後遺障害が残る場合、弁護士にご依頼をいただくと、お手元に入る賠償金が数十万円から数百万円増額することも珍しくありません。弁護士法人サリュは、交通事故解決実績が2万件を超える経験豊富な弁護士法人です。無料相談で弁護士がお客様に最適なアドバイスを差し上げています。後遺障害等級の獲得もサポートします。
無料相談をご利用いただいたからといって、無理にご依頼をすすめることはありません。安心して弁護士法人サリュの無料相談をご利用ください。
神経系統の機能又は精神の後遺障害は
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日本全国どこからでも後遺症についてご相談いただけます。交通事故は弁護士へお気軽にご相談ください。後遺障害に詳しい弁護士がご相談に対応いたします。
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後遺症・後遺障害のご相談は、弁護士法人サリュへ。弁護士法人サリュは交通事故解決実績20000件以上の安心してご依頼いただける弁護士法人です。
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