下肢とは
- 「下肢」とは?
「下肢」とは、殿部、大腿、膝、下腿、足を含む部分をさします。lower limbとも呼ばれます。
「下肢」の読み方
- 「下肢」の読み方は?
「下肢」は「かし」と読みます。
下肢で多い後遺障害等級
- 下肢の後遺障害で多い等級は?
下肢の後遺障害で多い等級は、後遺障害1級、後遺障害2級、後遺障害4級、後遺障害5級、後遺障害6級、後遺障害7級、後遺障害8級、後遺障害9級、後遺障害10級、後遺障害12級、後遺障害13級などです。
下肢の後遺障害の種類
- 下肢の後遺障害の種類は?
下肢に関する後遺障害には、欠損障害、機能障害、短縮障害、変形障害などがあります。
下肢には、殿部、大腿、膝、下腿、足が含まれます。
殿部とは
- 「殿部」とは?
「殿部」とは、「おしり」の部分をさします。buttock。
「殿部」の読み方
- 「殿部」の読み方は?
「殿部」は「でんぶ」と読みます。
大腿とは
- 「大腿」とは?
「大腿」とは、股関節から膝までの「ふともも」の部分をさします。femur。
「大腿」の読み方
- 「大腿」の読み方は?
「大腿」は「だいたい」と読みます。
下腿とは
- 「下腿」とは?
「下腿」とは、膝から足首までの部分をさします。legのことです。
「下腿」の読み方
- 「下腿」の読み方は?
「下腿」は「かたい」と読みます。
交通事故後遺障害等級認定における「足」
「足」とは
- 「足」とは?
「足」とは、くるぶしより下の部分をさします。足の骨は、足根骨、中足骨、指骨の3つの部分に分かれます。足は28個の骨から構成されます。一般的な使用方法では「足」といえば股から足の指先までの全体を指すように言われることもあります。しかし交通事故の後遺症の等級認定においては、「足」とは、くるぶしより先の部分をさします。footとも呼ばれます。
下肢の骨
下肢の骨には
- 寬骨
- 大腿骨
- 膝蓋骨
- 下腿骨(脛骨・腓骨)
- 足根骨
- 中足骨
- 趾骨
などがあります。
下肢の関節
下肢の関節には
- 股関節(大腿骨と寛骨)
- 膝関節(大腿骨と脛骨)
- 足関節(脛骨と足根骨)
- 中足関節(足根骨と中足骨)
- 母指関節(第一中足骨と第一母指近位節)
- 指間関節(中足骨と近位指節)
などがあります。
下肢の筋肉
下肢の筋肉には
- 臀部筋群(大殿筋やハムストリングスなど)
- 大腿部筋群(四頭筋や半膜様筋など)
- 下腿部筋群(ヒラメ筋やヒラメ筋下部など)
などがあります。
下肢(下肢及び足指)の後遺障害の詳細は、下記でご確認ください。
推定読書時間: 17 分
下肢(下肢及び足指)の後遺障害について
交通事故による「足」の障害とその等級認定は、事故で負った怪我の部位と種類によって異なってきます。具体的には、下肢の欠損障害、足指の欠損障害、下肢の機能障害、足指の機能障害、下肢の変形障害、下肢の短縮障害などです。以下では順番にご説明します。
下肢の欠損障害
下肢に欠損の後遺症が残った場合に、後遺障害と認定される基準は下表の通りです。
等級の詳細 | 解剖学的部位 | 後遺障害の程度 |
---|---|---|
後遺障害1級5号 | 下肢(下肢及び足指) | 両下肢をひざ関節以上で失ったもの |
後遺障害2級4号 | 下肢(下肢及び足指) | 両下肢を足関節以上で失ったもの |
後遺障害4級5号 | 下肢(下肢及び足指) | 1下肢をひざ関節以上で失ったもの |
後遺障害4級7号 | 下肢(下肢及び足指) | 両足をリスフラン関節以上で失ったもの |
後遺障害5級5号 | 下肢(下肢及び足指) | 1下肢を足関節以上で失ったもの |
後遺障害7級8号 | 下肢(下肢及び足指) | 1足をリスフラン関節以上で失ったもの |
「下肢をひざ関節以上で失ったもの」とは
- Q「下肢をひざ関節以上で失ったもの」とは?
- A
「下肢をひざ関節以上で失ったもの」とは、次のいずれかに該当するものを指します。
- 股関節において寛骨と大腿骨を離断したもの。
- 股関節とひざ関節との間で切断したもの。
- ひざ関節において大腿骨と脛骨及び腓骨とを離断したもの。
「下肢を足関節以上で失ったもの」とは
- Q「下肢を足関節以上で失ったもの」とは?
- A
「下肢を足関節以上で失ったもの」とは、以下のいずれかに該当するものを指します。
- ひざ関節と足関節との間で切断されたもの。
- 足関節において、脛骨及び腓骨と距骨とが離断されたもの。
足指の欠損障害
等級の詳細 | 解剖学的部位 | 後遺障害の程度 |
---|---|---|
後遺障害5級8号 | 下肢(下肢及び足指) | 両足の足指の全部を失ったもの |
後遺障害8級10号 | 下肢(下肢及び足指) | 1足の足指の全部を失ったもの |
後遺障害9級14号 | 下肢(下肢及び足指) | 1足の第1の足指を含み2以上の足指を失ったもの |
後遺障害10級9号 | 下肢(下肢及び足指) | 1足の第1の足指又は他の4の足指を失ったもの |
後遺障害12級11号 | 下肢(下肢及び足指) | 1足の第2の足指を失ったもの、第2の足指を含み2の足指を失ったもの又は第3の足指以下の3の足指を失ったもの |
後遺障害13級9号 | 下肢(下肢及び足指) | 1足の第3の足指以下の1又は2の足指を失ったもの |
「足指を失ったもの」とは
- Q「足指を失ったもの」とは?
- A
「足指を失ったもの」とは、足指をすべて失った場合を指し、中足指節関節から失ったものがこれに該当します。
足指を基部(足指の付け根)から失った場合も、「足指を失ったもの」に準じて等級が認定されます。
下肢の機能障害
下肢に機能障害の後遺症が残った場合に、後遺障害と認定される基準は下表の通りです。
等級の詳細 | 解剖学的部位 | 後遺障害の程度 |
---|---|---|
後遺障害1級6号 | 下肢(下肢及び足指) | 両下肢の用を全廃したもの |
後遺障害5級7号 | 下肢(下肢及び足指) | 1下肢の用を全廃したもの |
後遺障害6級7号 | 下肢(下肢及び足指) | 1下肢の3大関節中の2関節の用を廃したもの |
後遺障害8級7号 | 下肢(下肢及び足指) | 1下肢の3大関節中の1関節の用を廃したもの |
後遺障害10級11号 | 下肢(下肢及び足指) | 1下肢の3大関節中の1関節の機能に著しい障害を残すもの |
後遺障害12級7号 | 下肢(下肢及び足指) | 1下肢の3大関節中の1関節の機能に障害を残すもの |
「下肢の機能が完全に失われたもの」とは
- Q「下肢の機能が完全に失われたもの」とは?
- A
「下肢の機能が完全に失われたもの」とは、股関節、膝関節、足関節の3大関節が全て強直しているものを指します。また、3大関節が強直したことに加えて、足指全てが強直している場合も含まれます。
「関節の用を廃したもの」とは
- Q「関節の用を廃したもの」とは?
- A
「関節の用を廃したもの」とは、次のいずれかに該当するものを指します。
- 関節が強直しており、動かすことができないもの
- 関節が完全に弛緩性麻痺またはこれに近い状態にあるもの(「これに近い状態」は、上肢と同様)
- 人工関節または人工骨頭が置換された関節のうち、健側の可動域角度の1/2以下に制限されたもの
「関節の機能に著しい障害を残すもの」とは
- Q「関節の機能に著しい障害を残すもの」とは?
- A
「関節の機能に著しい障害を残すもの」とは、次のいずれかに該当するものを指します。
- 関節の可動域が健側の可動域角度の1/2以下に制限されているもの
- 人工関節・人工骨頭を置換した関節のうち、「関節の用を廃したもの」の「人工関節または人工骨頭が置換された関節のうち、健側の可動域角度の1/2以下に制限されたもの」以外のもの
「関節の機能に障害を残すもの」とは
- Q「関節の機能に障害を残すもの」とは?
- A
「関節の機能に障害を残すもの」とは、関節の可動域が健側の可動域角度の3/4以下に制限されているものをさします。
習慣性脱臼および弾発ひざ
習慣性脱臼および弾発ひざは、関節の機能障害として後遺障害12級に準じた取り扱いとなります。
足指の機能障害
足指に機能障害の後遺症が残った場合に、後遺障害と認定される基準は下表の通りです。
等級の詳細 | 解剖学的部位 | 後遺障害の程度 |
---|---|---|
後遺障害7級11号 | 下肢(下肢及び足指) | 両足の足指の全部の用を廃したもの |
後遺障害9級15号 | 下肢(下肢及び足指) | 1足の足指の全部の用を廃したもの |
後遺障害11級9号 | 下肢(下肢及び足指) | 1足の第1の足指を含み2以上の足指の用を廃したもの |
後遺障害12級12号 | 下肢(下肢及び足指) | 1足の第1の足指又は他の4の足指の用を廃したもの |
後遺障害13級10号 | 下肢(下肢及び足指) | 1足の第2の足指の用を廃したもの、第2の足指を含み2の足指の用を廃したもの又は第3の足指以下の3の足指の用を廃したもの |
後遺障害14級8号 | 上肢 (上肢及び手指) | 1足の第3の足指以下の1又は2の足指の用を廃したもの |
「足指の用を廃したもの」とは
- Q「足指の用を廃したもの」とは?
- A
「足指の用を廃したもの」とは、具体的には、次のいずれかに該当するものを指します。
- 第1の足指の末節骨の長さの半分以上を失ったもの
- 第1の足指以外の足指を中節骨もしくは基節骨を切断したもの又は遠位指節間関節若しくは近位指節間関節において離断したもの
- 中足指節関節又は近位指節間関節(第1の足指にあっては指節間関節)の可動域が健側の可動域角度の1/2以下に制限されるもの
下肢の変形障害
下肢に変形障害が残った場合に、後遺障害と認定される基準は下表の通りです。
等級の詳細 | 解剖学的部位 | 後遺障害の程度 |
---|---|---|
後遺障害7級10号 | 下肢(下肢及び足指) | 1下肢に偽関節を残し、著しい運動障害を残すもの |
後遺障害8級9号 | 下肢(下肢及び足指) | 1下肢に偽関節を残すもの |
後遺障害12級8号 | 下肢(下肢及び足指) | 長管骨に変形を残すもの |
「偽関節を残し、著しい運動障害を残すもの」とは
- Q「偽関節を残し、著しい運動障害を残すもの」とは?
- A
「偽関節を残し、著しい運動障害を残すもの」とは、次のいずれかに該当し、常に硬性補装具を必要とするものを指します。
- 大腿骨の骨幹部等に癒合不全を残すもの
- 脛骨及び腓骨の骨幹部等に癒合不全を残すもの
- 脛骨の骨幹部等に癒合不全を残すもの
「偽関節を残すもの」とは
- Q「偽関節を残すもの」とは?
- A
「偽関節を残すもの」とは、次のいずれかに該当するものを指します。
- 大腿骨の骨幹部等に癒合不全を残すもので、上記「偽関節を残し、著しい運動障害を残すもの」の「大腿骨の骨幹部等に癒合不全を残すもの」以外のもの。
- 脛骨及び腓骨の骨幹部等に癒合不全を残すもので、上記「偽関節を残し、著しい運動障害を残すもの」の「脛骨及び腓骨の骨幹部等に癒合不全を残すもの」以外のもの。
- 脛骨の骨幹部等に癒合不全を残すもので、上記「偽関節を残し、著しい運動障害を残すもの」の「脛骨の骨幹部等に癒合不全を残すもの」以外のもの。
「長管骨に変形を残すもの」とは
- Q「長管骨に変形を残すもの」とは?
- A
「長管骨に変形を残すもの」とは、以下のいずれかに該当するものを指します。同一の長管骨に複数の変形が存在する場合でも含まれます。
- 次のいずれかの条件を満たす場合で、外部から見た場合に屈曲が15度以上で不正癒合を残すもの。
- 大腿骨に変形を残すもの
- 脛骨に変形を残すもの
- (ただし、腓骨のみの変形でも著しい場合はこれに含まれます。)
- 大腿骨または脛骨の骨端部にゆ合不全を残すもの、または腓骨の骨幹部等にゆ合不全を残すもの
- 大腿骨または脛骨の骨端部のほとんどが欠損したもの
- 大腿骨または脛骨(骨端部を除く)の直径が2/3以下に減少したもの
- 大腿骨が外旋45度以上または内旋30度以上の回旋変形を持っているもの。この場合、外旋45度以上または内旋30度以上の回旋変形癒合をしていることは、以下のいずれかの条件を確認することによって判定されます。
- 外旋変形癒合にある場合は、股関節の内旋が0度を超えてできないこと。内旋変形癒合にある場合は、股関節が15度を超えて外旋できないこと。
- X線写真等により、明らかに大腿骨の回旋変形癒合が認められること。
- 次のいずれかの条件を満たす場合で、外部から見た場合に屈曲が15度以上で不正癒合を残すもの。
長管骨の骨折部が良方向に短縮され、癒着している場合には、その部位に肥厚が生じていても、それを長管骨の変形とはみなしません。
下肢の短縮障害
下肢に短縮障害が残った場合に、後遺障害と認定される基準は下表の通りです。
等級の詳細 | 解剖学的部位 | 後遺障害の程度 |
---|---|---|
後遺障害8級5号 | 下肢(下肢及び足指) | 1下肢を5センチメートル以上短縮したもの |
後遺障害10級8号 | 下肢(下肢及び足指) | 1下肢を3センチメートル以上短縮したもの |
後遺障害13級8号 | 下肢(下肢及び足指) | 1下肢を1センチメートル以上短縮したもの |
下肢の動揺関節
下肢の動揺関節については、他動的なものであるか自動的なものであるかにかかわらず、次の基準に従って等級を認定します。
等級の詳細 | 解剖学的部位 | 後遺障害の程度 |
---|---|---|
後遺障害8級相当 | 下肢(下肢及び足指) | 常に硬性補装具を必要とするもの |
後遺障害10級相当 | 下肢(下肢及び足指) | 時々硬性補装具を必要とするもの |
後遺障害12級相当 | 下肢(下肢及び足指) | 重激な労働等の際以外には硬性補装具を必要としないもの |
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