慰謝料とは、精神的な損害に対して支払われる賠償金のことです。
交通事故の慰謝料には、入通院慰謝料、後遺障害慰謝料、死亡慰謝料の3つがあります。
慰謝料は損害賠償のうち苦痛などの精神的な損害を補填するものです。裁判などの蓄積により慰謝料にも相場のようなものがあります。ここでは入通院慰謝料の相場について解説します。
入通院慰謝料(傷害慰謝料)の相場
入通院慰謝料の相場をご案内します。入通院慰謝料の相場は、自賠責基準と弁護士基準と任意保険基準で計算方法が異なります。各基準による入通院慰謝料の相場や計算方法は以下の通りです。
自賠責基準による入通院慰謝料(傷害慰謝料)の相場
自賠責基準での入通院慰謝料は対象日数1日につき4,300円*です。
ここでいう対象日数は
- 治療期間(初診から症状固定までの期間)
- 実際に入通院した日数の2倍
のうち、少ない方になります。
自賠責保険基準での入通院慰謝料(傷害慰謝料)は、日額4,300円*に、治療期間の日数、または通院日数×2のいずれか少ない方の日数をかけて計算します。
ただし、自賠責保険では、入通院慰謝料、治療費、休業損害等を含めた金額が総額120万円を限度とします。
自賠責基準では治療費や休業損害や入通院慰謝料などすべて含めての上限が120万円と定められているため、もしもそれを超えてしまうと自賠責からは支払ってもらえません。
例えば治療費が高額になれば総額120万円の枠を圧迫して計算通りの入通院慰謝料が出ないことも考えられます。
自賠責基準の計算方法
自賠責基準の場合、以下のように計算します。
4,300円*×治療期間
治療期間は、以下の2つのうち「少ない方」を採用します。
- 治療にかかった期間
- 実治療日数×2
たとえば3か月治療を受けた場合、通院日数が45日以上あれば「4,300円*×90日=387,000円」が支払われます。
一方通院日数が40日であれば「4,300円*×80日(40日×2)=344,000円」となります。
自賠責基準の場合、入院期間と通院期間の区別はありません。
(例)3ヵ月間にわたって通院し、そのうち実際に病院に行った日数が20日だった場合
たとえば、3ヵ月間にわたって通院し、そのうち実際に病院に行った日数が20日だった場合は
①「治療期間」は90日、②「実際に入通院した日数の2倍」は40日です。
したがって、少ない方の40日を用いて、
4,300円*×40日=17万2,000円
となります。
* 自賠責基準での入通院慰謝料は対象日数1日につき4,300円なのは、2020年4月1日以降の交通事故の場合です。2020年3月31日までの事故の場合は 4,200円となります。
弁護士基準による入通院慰謝料(傷害慰謝料)の相場
裁判基準(弁護士基準)での入通院慰謝料(傷害慰謝料)の相場は、通常のケースでは基本的に入通院期間により下表をもとに計算されます(単位:万円)。
弁護士基準の場合、通院期間よりも入院期間の方が金額は大きくなります。また「通常程度のけが」と「軽傷、自覚症状のみのむちうち」のケースで相場が異なります。打撲やねんざ、自覚症状しかないむちうち(MRIなどに外相所見が写らないケース)の場合、通常のけがと比べて3分の2程度に慰謝料が減額されます。
弁護士基準の入通院慰謝料は、治療期間によって算出します。具体的には以下のとおりです。重傷か軽傷かで用いる表が変わります。
むちうちで他覚所見がない場合には軽傷の表を用います。
他覚所見とは、画像や検査結果から客観的に把握できる症状です。むちうちでは、自覚症状しかなく客観的な説明は難しいケースが多いことから、ほとんどは軽傷の表を使用します。
【軽傷以上のけがの慰謝料相場(重傷の場合)】 単位:万円
入院 | 1月 | 2月 | 3月 | 4月 | 5月 | 6月 | 7月 | 8月 | |
通院 | 53 | 101 | 145 | 184 | 217 | 244 | 266 | 284 | |
1月 | 28 | 77 | 122 | 162 | 199 | 228 | 252 | 274 | 291 |
2月 | 52 | 98 | 139 | 177 | 210 | 236 | 260 | 281 | 297 |
3月 | 73 | 115 | 154 | 188 | 218 | 244 | 267 | 287 | 302 |
4月 | 90 | 130 | 165 | 196 | 226 | 251 | 273 | 292 | 306 |
5月 | 105 | 141 | 173 | 204 | 233 | 257 | 278 | 296 | 310 |
6月 | 116 | 149 | 181 | 211 | 239 | 262 | 282 | 300 | 314 |
7月 | 124 | 157 | 188 | 217 | 244 | 266 | 286 | 304 | 316 |
8月 | 132 | 164 | 194 | 222 | 248 | 270 | 290 | 306 | 318 |
9月 | 139 | 170 | 199 | 226 | 252 | 274 | 292 | 308 | 320 |
10月 | 145 | 175 | 203 | 230 | 256 | 276 | 294 | 310 | 322 |
11月 | 150 | 179 | 207 | 234 | 258 | 278 | 296 | 312 | 324 |
12月 | 154 | 183 | 211 | 236 | 260 | 280 | 298 | 314 | 326 |
例えば、交通事故で骨折して2ヶ月入院してその後3ヶ月通院をした場合は、上表から入院2ヶ月と通院3ヶ月がクロスする部分を参照して入通院慰謝料(傷害慰謝料)は154万円と計算されます。
※ 上記計算は、事故と治療との医療上の必要性が認められることが前提となった計算です。
【軽傷の場合の慰謝料相場】 単位:万円
むちうちで他覚症状のない場合などは、下表によることになります(単位:万円)。
入院 | 1月 | 2月 | 3月 | 4月 | 5月 | 6月 | 7月 | 8月 | |
通院 | 35 | 66 | 92 | 116 | 135 | 152 | 165 | 176 | |
1月 | 19 | 52 | 83 | 106 | 128 | 145 | 160 | 171 | 182 |
2月 | 36 | 69 | 97 | 118 | 138 | 153 | 166 | 177 | 186 |
3月 | 53 | 83 | 109 | 128 | 146 | 159 | 172 | 181 | 190 |
4月 | 67 | 95 | 119 | 136 | 152 | 165 | 176 | 185 | 192 |
5月 | 79 | 105 | 127 | 142 | 158 | 169 | 180 | 187 | 193 |
6月 | 89 | 113 | 133 | 148 | 162 | 173 | 182 | 188 | 194 |
7月 | 97 | 119 | 139 | 152 | 166 | 175 | 183 | 189 | 195 |
8月 | 103 | 125 | 143 | 156 | 168 | 176 | 184 | 190 | 196 |
9月 | 109 | 129 | 147 | 158 | 169 | 177 | 185 | 191 | 197 |
10月 | 113 | 133 | 149 | 159 | 170 | 178 | 186 | 192 | 198 |
11月 | 117 | 135 | 150 | 160 | 171 | 179 | 187 | 193 | 199 |
12月 | 119 | 136 | 151 | 161 | 172 | 180 | 188 | 194 | 200 |
入院期間と通院期間の交わった部分が、弁護士基準での入通院慰謝料の金額です。
たとえば、
重傷、入院3ヶ月、通院6ヶ月 → 211万円
軽傷、入院なし、通院3ヶ月 → 53万円
となります。
通院頻度が低くなると慰謝料が減額される
弁護士基準の場合、通院期間が長引いて通院頻度が少ないとと「実通院日数×3.5」を治療期間として計算する可能性があります。
たとえば「2年間の通院日数が10日」の場合、「35日(10日かける3.5)」となるので「1か月分程度」の通院慰謝料のみが足されることになります。
弁護士基準を適用した場合の具体例
任意保険基準による入通院慰謝料(傷害慰謝料)の相場
任意保険基準は各任意保険会社によって異なるので、一定の数字や計算方法を示すことはできません。ただ弁護士基準と比べると低額になり、3分の2やそれ以下の金額になる可能性があります。次に紹介する自賠責基準と近い数字になるケースもよくあります。
入通院慰謝料の無料相談
交通事故で怪我をして入通院をされた場合は、加害者側の保険会社との示談交渉を弁護士に依頼すると慰謝料が増額できる場合が多いです。
特に後遺障害が残った場合はほとんどのケースで交通事故を弁護士に依頼する方が被害者の手元に入る賠償金があがります。
弁護士法人サリュでは経験豊富な弁護士が交通事故の入通院慰謝料について無料相談を実施しています。
日本全国どこからでも交通事故の慰謝料についてご相談いただけます。交通事故は弁護士へお気軽にご相談ください。入通院慰謝料(傷害慰謝料)の相場に詳しい弁護士がご相談に対応いたします。
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交通事故慰謝料のご相談は、弁護士法人サリュへ。弁護士法人サリュは交通事故解決実績20000件以上の安心してご依頼いただける弁護士法人です。
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