交通事故で怪我や死亡の被害にあった際、被害者としての権利を守るためには、交通事故の損害賠償にかかる専門的な知識と保険会社との粘り強い示談交渉が求められます。
特に、交通事故の慰謝料の額を適正なものとするためには適切な算出方法を知り、その算定をもとにした示談交渉が重要です。
ここで、弁護士の活用が考えられます。しかし、「なぜ交通事故を弁護士に頼むと交通事故の慰謝料が増えるのか?」という疑問を持つ方も多いでしょう。その理由と弁護士に頼むメリットについて詳しく解説します。
交通事故を弁護士に依頼することを検討する上で、具体的な情報を持つことでより適切な判断が可能になります。ぜひ、最後までご一読ください。
交通事故の慰謝料の種類
交通事故の慰謝料には以下の3種類があります。
被害者がけがをしたときに発生する慰謝料です。入通院治療を受けた期間に応じて計算されます。
治療を受けてもけがが完治せずに後遺症が残り、自賠責保険(共済)で「後遺障害認定」を受けたときに支払われる慰謝料です。
後遺障害が残ったケースでは「入通院慰謝料」と「後遺障害慰謝料」の両方が払われるので慰謝料が高額になります。
弁護士に頼むと交通事故の慰謝料がなぜ増えるのか
弁護士に依頼すると慰謝料が増額される理由
交通事故被害者が自分で示談交渉をするより交通事故を弁護士に依頼した方が、慰謝料は増額されます。理由は主に以下の5つです。
- 弁護士と保険会社とでは慰謝料の「計算基準」が異なる
- 慰謝料の増額要素を主張できる
- 慰謝料の不当な減額を防げる
- 交通事故を弁護士に依頼すると過失割合が適正になる
- 交通事故を弁護士に依頼すると後遺障害慰謝料が高額になりやすい
弁護士と保険会社とでは慰謝料の「計算基準」が異なる
一般にはあまり知られていないのですが、弁護士と保険会社とでは慰謝料の「計算基準」が異なります。弁護士が計算するときには「弁護士基準」を適用しますが、任意保険会社が計算するときには「任意保険基準」を適用します。
交通事故の損害賠償の基準には、次の3つがあります。
最も低額なものが自賠責保険基準、最も高額なものが裁判基準(弁護士基準)、そしてその間に位置しますが、やはり低額な任意保険基準の3つです。
通常ご自身で交渉すると保険会社は自賠責基準に少し上乗せをしたくらいの金額を提示してきますが、交通事故のケガについて弁護士に依頼すると、裁判基準での交渉が可能となります。
弁護士基準
弁護士基準は、弁護士や裁判所が利用する法的な基準です。法的な根拠のある数字であり、被害者にはそもそも弁護士基準によって計算された慰謝料を請求する権利が認められています。
任意保険基準
任意保険基準は、任意保険会社が独自に設定している計算基準です。それぞれの任意保険会社によって微妙な違いはありますが、だいだい似たような数字になります。どこの保険会社でも弁護士基準と比べると大幅に金額が下がります。
弁護士基準と任意保険基準を比較すると、弁護士基準の方が大幅に高額になります。おおまかにいうと入通院慰謝料の場合に1.3~1.8倍程度、後遺障害慰謝料の場合2~3倍程度、死亡慰謝料の場合には1,000万円程度の差額がつきます。
被害者が自分で示談交渉をすると法的根拠のない「任意保険基準」をあてはめられて慰謝料を減額されますが、交通事故を弁護士に依頼すると適正な「弁護士基準」が適用されるので慰謝料が一気に増額されます。
自賠責保険では不十分な理由
自賠責保険の「自賠責保険基準」というのは、自賠責保険における保険金の算出基準です。
1900年代前半に、急激に増えた交通量により交通事故も急増、またほとんどのケースで運転者が保険に未加入だったために当然保険金もおりず、かつ重症の後遺障害を負っても資力のない運転者に賠償金を支払ってもらうことができず被害者が泣き寝入りするしかないという事態が多発しました。
自賠責保険はそのような社会背景から火急の対応を迫られ1955年にできた保険です。
成り立ちがこのような形ですし、社会保障的な側面も持つため強制加入であったり、保険会社はこの保険を取り扱いますが保険料に保険会社の利益の分が含まれていないなど、いくつか特徴があります。ただ言えることは、この保険の基準は法律の定める最低限の補償であり、十分なものではないということです。
比べていただければわかりますが、任意保険基準は、最低限ではないものの、裁判基準には程遠いもので、保険会社の申し訳程度の金額です。
基準は逸失利益にもあてはまるのですが、これは被害者の方の年齢や収入などによっても大きく変わるため一概に比べることができないのですが、慰謝料であれば後遺障害等級認定に応じて支払われるものですので、以下、損害賠償の一部である慰謝料について比べてみたいと思います。
弁護士基準(裁判基準) と自賠責基準は、こんなに違う
後遺障害等級14級の後遺障害慰謝料の場合
となっています。
任意保険基準がその間の基準なのであれば、せめて真ん中の70万円くらいにしてほしいものですが、実際には40万円くらいとなっています。
後遺障害等級7級の後遺障害慰謝料の場合
また例えば目が片方見えなくなりもう片方の視力も0.6以下になる障害を負ってしまった場合、後遺障害等級7級に該当しますがこの場合
になるのです。
後遺障害等級7級の任意保険基準はというと500万円程度です。
保険会社に、このくらいしか出せませんと言われると、そうなのかな?と思ってしまうこともあるかもしれませんが、このようにみていただくと、自賠責基準も、任意保険基準も到底納得できない金額のものだということがお判りいただけると思います。
後遺障害慰謝料だけでも違いは2.3倍~3.4倍
後遺障害等級認定には1級から14級が設定されていますが、後遺障害慰謝料は自賠責基準と弁護士基準で2.3倍~3.4倍程度の差があります。
金額にすると損害賠償の後遺障害慰謝料部分だけで78万円~1700万円の違いが、交通事故を弁護士が交渉したか否かということで生じるのです。これは後遺障害慰謝料だけの話ですから示談金総額になればその差はもっと広がる可能性が高いです。
もしも交通事故でけがをしてしまったなら、まずはお気軽に無料相談をご利用いただき、説明をきいて納得できましたら、どうぞ弁護士法人サリュに依頼をしてください。きっと、お役に立てると思います。
保険会社はどの基準で慰謝料を支払おうとするか
ひとつの営利企業である保険会社という立場を考えますと、保険会社としてはできるだけ保険金を払いたくないと思っていることは、親切な対応の保険会社でも共通です。
なぜなら、保険会社にとって、契約者等から受け取った保険料は収入となりますが、支払う保険金は支出であり、営利企業として支出を抑えて儲けを出したいと考えるのは、当たり前と言えば当たり前のことなのです。
被害者ご自身で交渉しても、保険会社はなかなか裁判基準の慰謝料を認めてくれません。自賠責保険基準に少し上乗せしたような金額で支払おうとすることが多いです。
ただ、交通事故を弁護士が交渉することにより、最も高い裁判基準(弁護士基準)での支払いを納得してくれることが多いのです。弁護士なら必要であれば粛々と裁判を一つの手続きとして進めます。
保険会社もそのことを理解しており、被害者自身の交渉では頑として首を縦に振ってくれなかったにも関わらず、弁護士の交渉で拍子抜けするほどスムーズに裁判基準を踏まえた金額での交渉が可能になるのです。
具体例 むちうちのケース
わかりやすいようにモデルケースでどのくらい差額が発生するかみてみましょう(以下、この記事で紹介する事例は計算方法を把握するためのモデルケースであり、実際にあったものではありません)。
交通事故でむちうちになり、6か月通院して後遺障害14級、保険会社からは以下の内容の慰謝料を提示されたとします。
傷害慰謝料…643,000円
後遺障害慰謝料…40万円
合計1,043,000円
弁護士に裁判を依頼し、後遺障害14級を維持すると、弁護士基準が適用されて以下の通りとなる可能性が高いです。
傷害慰謝料…89万円
後遺障害慰謝料…110万円
合計199万円
結果として947,000円の増額となり、当初の約2倍の慰謝料を払ってもらうことができます。
参考:むちうちの慰謝料の相場は下記よりご確認ください。
慰謝料の「増額要素」をあてはめられる
交通事故の慰謝料は、一律ではありません。
同じようなけがや後遺障害の事案でも、ケースに応じて被害者の受ける精神的苦痛の度合いが異なるからです。以下のように被害者の精神的苦痛が特に強いと考えられるケースでは、慰謝料が増額または休業損害が補償されます。
- 内定がとれていたのに被害者が事故によって就職できなくなった
- 学校に通っていたのに事故によって出席が足りず被害者が退学した
- 被害者が入学、留学できなくなった、留年した
- 被害者が事故によって流産、中絶した
- 加害者が悪質(ひき逃げや飲酒運転、無免許運転など)
外貌醜状などの後遺障害で逸失利益が払われない、あるいは減額された場合にも逸失利益が減額された分、慰謝料が増額される傾向があります。
ただ被害者が自分で対応すると「どのような増額要素があるのか」「自分の場合にどこまで主張できるのか」などがわからないので、本当は増額すべきケースでも無視されてしまう可能性が高まります。
交通事故を弁護士に相談すると、ケースごとの慰謝料増額要素をきちんと抽出して加害者側へ主張し、最大限増額させるよう交渉を進めます。これにより、数百万円以上の開きが発生するケースも少なくありません。
具体例 被害者が流産したケース
モデルケースでどのくらいの差額が発生するか、ご説明します。
交通事故に遭って流産し、7か月通院。保険会社からは入通院慰謝料として769,000円の提示を受けたとします。
交通事故を弁護士が対応すると、弁護士基準をあてはめるとともに流産したことについての慰謝料を足して、150万円程度にまで増額できる可能性があります。
慰謝料の不当な減額を防げる
交通事故で被害者が保険会社と交渉すると、慰謝料を不当に減額される危険があります。
保険会社は高額な慰謝料を支払うと損失につながるので、できるだけ減額したいと考えるからです。たとえば以下のような場合、保険会社は慰謝料を減額するよう主張するケースが多々あります。
- 被害者に持病がある、特殊な身体的特徴がある
椎間板ヘルニアなどの持病があると、むちうちになっても「持病のせいで悪化した」と言われて慰謝料を減額を主張してくる可能性が濃厚です。
- 被害者が事故とは無関係にうつ病になった
被害者がうつ病になると「うつ病になったから治療が長びいた」などと言われて慰謝料を減額されるケースが多々あります。
- 被害者が家族や友人の車に乗せてもらっていた
被害者が家族や友人の車に乗せてもらって事故に遭うと「無料で車に乗せてもらって危険を引き受けていたのだから損害発生の責任を負うべき」と主張されて慰謝料を減額される可能性があります。
ただ、上記のような保険会社の主張は適切とは限りません。本来は減額すべきでないケースでも不当に大きな減額を主張される事例が散見されます。交通事故で弁護士が示談交渉に対応したら、不当な減額は認めないので結果として慰謝料が増額されます。
弁護士に依頼すると過失割合が適正になる
交通事故で適正な慰謝料を受け取るには「過失割合」が非常に重要です。過失割合とは交通事故当事者それぞれの損害発生に対する責任割合です。
交通事故では加害者に100%の過失があるとは限りません。被害者側にも落ち度があるケースもあります。被害者にも過失があるなら被害者が加害者へ請求できる賠償金の金額を減額しないと不公平なので、加害者へ請求できる賠償金が減額されます。これを「過失相殺」といいます。
交通事故で被害者の過失割合が大きくなると、「過失相殺」によって慰謝料を大幅に減額されるので要注意です。
ところが保険会社は被害者に不当に高い過失割合を割り当てて賠償金を減額しようとするケースが少なくありません。本来は被害者の過失割合が2割程度の事案でも「4割」などといわれる事例があります。
交通事故を弁護士が対応すれば、法的な過失割合算定基準をあてはめるので保険会社による不当な主張を認めません。保険会社が被害者に高めの過失割合を割り当てようとしても、弁護士に示談交渉を依頼すると適正な基準をあてはめて過失相殺を小さくし、結果的に慰謝料を増額できます。
具体例 保険会社の過失割合に納得できなかったケース
交差点で交通事故に遭いましたが、加害者側の保険会社から「被害者にも3割の過失がある」と言われたとしましょう。
弁護士が当時の状況を分析した結果、過失割合は9:1が望ましいことが判明し、そのまま示談交渉を行って過失割合を9:1として認めさせたとします。
当初保険会社からは入通院慰謝料として869,000円(通院10か月分)、そこから3割過失相殺して608,300円を提示されていても、弁護士に依頼したことによって弁護士基準をあてはめて入通院慰謝料を145万円とし、過失相殺1割として最終的に1,305,000円を払ってもらえます。
結果として自分で示談交渉をしていたときの2倍以上に慰謝料が増額される可能性があります。
弁護士に依頼すると後遺障害慰謝料が高額になりやすい
交通事故で高額な慰謝料を受け取るには「後遺障害認定」が極めて重要です。
後遺障害慰謝料は高額なので、後遺障害が認定されて後遺障害慰謝料が支払われると慰謝料総額が一気に増額されるのです。
ただ後遺障害認定は専門的な手続きであり、交通事故被害者が自分で対応すると適正な等級の認定を受けられない可能性が高くなります。多くの交通事故被害者は任意保険会社へ後遺障害認定を任せてしまう「事前認定」を利用しますが、それでは任意保険会社が適切な対応をしてくれるか定かではありません。
弁護士に相談すれば、事案に応じた適切な後遺障害認定方法を選択できます。
難しい事案では交通事故被害者が自分で後遺障害認定の手続きを行う「被害者請求」を利用して、積極的に後遺障害の認定を目指します。適切な等級の後遺障害認定を受けることにより、高額な後遺障害慰謝料の支払を受けられるので、結果的に受け取れる慰謝料総額が大きく増額されます。
具体例 むちうちで後遺障害が残ったケース
交通事故でむちうちになり、日常的に背中や肩などの各部位に痛みやしびれを感じる状態になったとしましょう。自分で後遺障害認定の手続きをしたところ、後遺障害には該当しないとされて後遺障害慰謝料は0になり、保険会社から入通院慰謝料の479000円のみの支払いを提示されたとします。
納得できないので弁護士に異議申立を依頼し、後遺障害14級が認められたら入通院慰謝料も弁護士基準が適用されて通院期間に応じた裁判基準である67万円に増額、後遺障害慰謝料が110万円払われて、合計176万円の慰謝料を受け取れます。自分で交渉したときと比べると3.6倍以上に増額される可能性があります。
弁護士法人サリュの慰謝料増額事例
弁護士法人サリュの解決事例で慰謝料が増額した事例の一部をご紹介します。
ポイント | 傷病・後遺症 | 慰謝料の増額例 |
---|---|---|
保険会社の被害者への提案額が不当に低かった。サリュが裁判基準で再計算し交渉した | 頚椎捻挫 | 倍額(97万円→211万円) |
顔面醜状の逸失利益が争われた。逸失利益に代わり後遺障害慰謝料の増額を主張した | 頚椎捻挫、外傷性肩関節炎、腰椎捻挫 顔面醜状 、等 | 後遺障害等級12級に相当する一般的な金額より大幅に増額 |
「後遺障害には該当しない」とされたが後遺障害が認められなくても女性が傷跡について辛い思いをしていた | 自賠責の後遺障害に当たらない部位の醜状 | 裁判の和解案で80万円 |
これはごく一部の事例です。弁護士法人サリュは交通事故解決実績2万件を超える弁護士事務所です。このほかにも多数の慰謝料増額事例があります。
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北海道 | 北海道 |
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東北 | 青森県、岩手県、秋田県、宮城県、山形県、福島県 |
関東 | 茨城県、栃木県、群馬県、埼玉県、千葉県、東京都、神奈川県 |
中部 | 新潟県、富山県、石川県、福井県、山梨県、長野県、岐阜県、静岡県、愛知県 |
近畿 | 三重県、滋賀県、奈良県、和歌山県、京都府、大阪府、兵庫県 |
中国 | 岡山県、広島県、鳥取県、島根県、山口県 |
四国 | 香川県、徳島県、愛媛県、高知県 |
九州 | 福岡県、佐賀県、長崎県、大分県、熊本県、宮崎県、鹿児島県、沖縄県 |
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