自転車事故の損害賠償

「交通事故」と聞くと自動車の事故を思い浮かべる人が多いかもしれませんが、自転車による事故も数多く発生しています。2019年の警察庁の統計によると、自転車関連事故は年間80,473件にのぼります。

自転車は子どもからお年寄りまで気軽に乗ることができるというメリットがありますが、手軽さゆえについ安心して不注意になってしまうという危険性もあります。

自転車に乗って事故を起こした場合にも、高額な賠償責任を負うおそれがあります。過去の裁判例では、総額約1億円の損害賠償が命じられたケースもあります。

このようなリスクがあることから、東京都では2020年4月から自転車保険の加入が義務付けられることになりました。日頃から自転車に乗っている人は、必要な保険に加入したうえで、自転車事故のリスクを把握しておくことが重要です。

そこで、自転車事故の示談交渉のポイントや損害賠償の内容について弁護士が詳しく説明します。実際の裁判例も紹介しますので、日常生活や通勤で自転車に乗る機会がある人は、今回紹介する自転車事故の基本ルールを頭に入れておきましょう。

自転車事故の4つの種類

自転車事故は、大きく分けると下記の4つの種類があります。

①自転車と自動車の事故

自転車事故の中で圧倒的に多いのが、自動車との衝突事故です。警察庁の統計によると、全体の約82%を占めています。その半数以上が出合い頭の衝突事故です。

裁判実務においては、自転車と自動車がぶつかる事故については、自動車側の責任が重いと判断される傾向があります。自動車は自転車よりも危険な乗り物であるため、より注意深く運転する必要があると考えられているからです。

②自転車とオートバイの事故

二番目に多いのが、自転車とオートバイの衝突事故です。全体の4.6%を占めています。自転車とオートバイの事故についても、オートバイの方が危険な乗り物であるため、オートバイ側の責任が大きいと認定される傾向があります。

③自転車同士の事故

自転車同士の事故は年間約3,000件発生しており、全体の約4.0%です。自転車同士の事故は、どちらも対等な立場にあるため、事故態様によってどちらの責任が重いかが判断されます。例えば、どちらかに信号無視や通行妨害などの交通ルール違反が認められる場合には、違反者側の責任が重いと認定されます。

④自転車と歩行者の事故

自転車と歩行者の衝突事故は最も少なく、全体の3.5%です。自転車は、歩行者に比べるとスピードが速く危険性が高いため、自転車側の責任が大きいと判断される傾向があります。歩行者が重症を負った場合や後遺症が残った場合には、自転車の運転者に高額な賠償責任が生じる可能性があります。

自転車事故の損害賠償

自転車の事故で被害者に怪我が生じた場合、下記の損害賠償が問題となります。

①持ち物(財産)の破損

自転車の事故によって持ち物(財産)が破損した場合、損害賠償の対象となります。例えば、事故の衝撃で腕時計が壊れた場合には、時計の修理費用や時価相当額を参考にして賠償額を算定します。

②治療に関する費用

被害者がお怪我を負った場合、治療費はもちろんのこと、病院に通院するための交通費や付き添いを頼んだ場合の看護費用、入院のために必要となった諸雑費などが、損害賠償の対象となります。

治療や療養のためにお仕事を休んだ場合は、休業損害(お仕事を休むことによって収入が減ること)も損害賠償の範囲に含まれます。

③慰謝料

事故でつらい思いをしたことや苦痛を感じたことに対する賠償のことを、「慰謝料」といいます。慰謝料の金額は、被害者のお怪我の内容や程度、入通院の期間、事故の態様などによって決まります。一般的には、お怪我が重症であれば精神的苦痛が大きいと考えられるため、慰謝料の金額も高額となります。

④後遺障害に関する損害賠償

病院で適正な治療を受けたにもかかわらず、症状を完全に治癒させることができず、将来にわたって体の不具合が残ることがあります、このような状態を「後遺障害」や「後遺症」といいます。後遺障害が生じた場合には、後遺障害の慰謝料逸失利益損害賠償の対象となります。

逸失利益」とは、後遺障害が無ければ将来得られるはずだった収入のことです。

例えば、足に後遺症が残ったため外出が困難となったケースを考えてみましょう。事故の前までは営業マンとして活躍していたとしても、外出ができなくなった以上、会社に頼んで内勤の部署に異動しなければいけません。営業の仕事が年収1,000万円で、内勤の事務職が年収600万円である場合、年間400万円の減収となります。このように、後遺障害によって将来的な収入が減少することを「後遺障害逸失利益」といいます。

⑤お亡くなりになった場合の損害賠償

歩行者と自転車の衝突事故では、歩行者がお亡くなりになるケースも発生しています。特に、歩行者が高齢である場合や病弱である場合には、死亡事故となる危険性は低くありません。被害者がお亡くなりになった場合には、被害者ご本人の慰謝料逸失利益遺族の慰謝料などが損害賠償の対象となるため、賠償金が高額化することになります。

自転車事故の裁判例

「自転車の事故は、自動車の事故ほど高額な賠償金にはならないだろう」と誤解している方が多くいらっしゃいますが、そのようなことは決してありません。自転車事故の賠償金は年々高額化しており、およそ1億円もの損害賠償が命じられた裁判例もあります。基本的には被害者がどのような怪我を負ったかによって賠償金が計算されるので、自転車だからといって、自動車やバイクに比べて、賠償金が少ないということはないのです。

平成25年7月4日判決(神戸地方裁判所)

小学5年生の男の子がマウンテンバイクで住宅街の坂道を下っていた際に、散歩中の60代の女性と正面衝突し、その女性が意識不明の重体となった事案です。

裁判官は、被害者が事故によって寝たきり状態となった事実を重く受け止め、総額9,521万円という高額の損害賠償を命じました。

平成20年6月5日判決(東京地方裁判所)

こちらは自転車同士の衝突事故です。男子高校生が自転車に乗って道路を斜めに横断したところ、対向車線を直進していた自転車(20代会社員男性)と衝突した事案です。会社員男性は、言語機能を喪失するなどの重大な後遺症を負いました。

裁判官は、男子高校生の不注意が大きいことや会社員男性の後遺症が重大であることを理由として、総額9,266万円の賠償を命じました。

自転車事故にまつわる保険

上記で紹介したように、自転車の事故を引き起こした場合には多額の賠償金を負担しなければならないおそれがあります。このようなリスクに備えて、東京都では2020年4月から自転車保険の加入を義務付けています。東京都以外でも、兵庫県大阪府滋賀県鹿児島県などで加入が義務付けられています。

日頃から自転車に乗っている人は、事故の被害者になるおそれがあるだけでなく、加害者になるおそれもあります。お住まいの地域が保険を義務付けていない場合であっても、いざ事故にあった場合に備えて保険に加入しておくと安心です。

自転車保険

自転車保険とは、自転車を運転中に怪我をした場合の治療費や、相手に怪我をさせてしまった場合の損害賠償をカバーしてくれる保険です。

ご自身が事故を起こした場合だけでなく、ご自身が事故に巻き込まれた場合にも利用することができます。

クレジットカードの保険や、自動車保険の特約として、自転車保険が含まれている場合が多く、保険料は安めですので、保険には入っておくことがお勧めです。

弁護士費用特約

弁護士費用特約とは、交通事故の示談交渉裁判を弁護士に依頼する際に、その弁護士費用を保険金で支払ってくれる特約です。

先ほど紹介したように、自転車の事故であっても数千万円単位の高額な賠償金が命じられるおそれがあります。このような高額な賠償金の事案については、交通事故の専門知識が必要となるため、ご自身で交渉することは困難です。弁護士費用特約に入っておけば、弁護士に支払う報酬を気にすることなく、安心して弁護士に依頼することができます。

まずは無料相談をご利用ください

今回は、自転車事故の特徴や損害賠償について説明したうえで、実際の裁判例も紹介しました。自転車の事故であっても、自動車の事故と同レベルの高額な賠償が命じられるおそれがあるため、日頃から正しい知識を身につけて安全運転を心がけることが重要です。

万が一事故に巻き込まれた場合には、お早めに交通事故を弁護士にご相談することをお勧めいたします。当事務所では、自転車事故のご相談を無料で受け付けております。ご相談の結果、「弁護士に依頼する必要は無さそうなので、自分で交渉を進めよう」とお客様がお考えになった場合は、ご依頼していただく必要はございません。こちらからご契約を強制することもございませんので、安心してご相談ください。

交通事故の無料相談は、お問い合わせフォームで受け付けております。お電話でのご予約も可能です。自転車の事故でお悩みの方は、ぜひ一度無料相談をご利用ください。

日本全国どこからでもご相談いただけます。交通事故は弁護士へお気軽にご相談ください。自転車事故に詳しい弁護士がご相談に対応いたします。

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