遺言書とは

遺言書とは、その言葉が示す通り、死後の財産の分け方や自身の望みを実現するための書面です。遺言者自身が自由に内容を決めることができ、生前に作成し、死後に効力を発生させる特徴があります。口頭でなく、書面で作成する必要があります。 具体的には、以下のような内容を記載することが一般的です。

遺言書の内容
  • 財産の分配:遺産分割の具体的な内容や、特定の財産を誰に相続させるかなど。
  • 葬や葬儀に関する意向:自身の葬儀や墓地の場所、埋葬方法など。

その他の意向としてペットの世話や遺品整理など、具体的な遺志を伝えることができます。

遺言書においては認知や推定相続人の排除やその取り消しなど、その方の事情に即した内容についても記すことができる事項がいくつか定められています。

遺言書は、遺言者の意思が尊重され、適切な遺産分割がなされるための重要なツールです。

遺言書が必要な理由

遺言書を作成することの必要性は、主に次の3つのポイントに集約されます。
1つ目は、自分の意志を反映させることができる点です。遺言書には財産の分配だけでな
く、ペットの世話やデジタル資産の管理など、様々なことが記載できます。これにより、あなたの意志が死後も反映されます。2つ目は、相続における混乱や争いを最小限にすることです。遺言書がない場合、法定相続人による財産分配が行われますが、これらの分配が公平かどうかは個々の感じ方によりますし、年齢や家族構成その他ご事情によって、被相続人の希望する分配の仕方というのもあるかもしれません。

たとえば長年連れ添った配偶者がいるが子供がいない、という場合に兄弟を相続人とするかどうかなどご家庭の関係性などによって希望が変わってくると思いますが、遺言を残さなければ兄弟も相続することになります。
遺言書に明確に分配を記載しておくことで、後のトラブルを防ぐことができます。
3つ目は、特定の人物に特別な形で財産を遺すことができる点です。例えば、特定の物品を決まった誰かに譲りたい、また 一部の財産を慈善団体などに寄付したいといった意志も遺言書で明示することが可能です。

遺言書の種類と作り方

(1)自筆遺言

自筆遺言は、名前が示す通り、遺言者自身が手書きで作成する遺言書のことを指します。具体的な作成方法は、遺言者が自分の意思を全て自筆で書き、文末に日付と署名・押印を行えば完成します。財産目録などはパソコンでの作成も可能ですが差し替え等による偽造防止のため、財産目録全てのページに署名・押印は必要です。その形式は以下のようになります。

自筆遺言の形式

1.遺言者の意思を明確に書く
2.遺言者本人の署名・押印
3.日付:作成日を明記

( 2) 公正証書遺言

公正証書遺言とは、遺言者が公証人に対して遺言の内容を説明し、公証人がそれを記録する形式の遺言書のことを指します。公証人が立会い、遺言の意思表示が適切に行われているかを確認するため、法律上の不備などが起こらず、後日無効となりにくい点がメリットと言えるでしょう。また写しは本人が保管しますが公証役場に原本が保管されるため、紛失の心配もありません。検認手続き(遺言書の存在と内容を確認する手続き)も不要です。
しかし、公正証書遺言の作成には手数料が必要であり、公証人による作成のため公証役場まで出向くことになるなど、主に気軽さという点においてデメリットも存在します。

公正証書遺言についてくわしく
公正証書遺言

(3)秘密証書遺言

秘密証書遺言は、その名の通り具体的な内容を秘密にしたい場合に利用されます。自身で遺言書を作成して封をし、その後存在だけを公証役場で証明してもらう方法です。封と押印によって偽造などの心配は極めて少なくなりますが、遺言書自体は自分で管理するため、紛失や、良くない場合は隠されてしまう可能性も考えられます。証明されるのは遺言書の存在だけで中身は本人以外知らないので、検認の手続きも必要です。

秘密証書遺言の形式

1.遺言書を作成する
2.封をして公証役場へ(中身は知られません)
3.本人が保管

遺言書を作る際の注意点

(1)内容の明確性

遺言書を作成する際、最も重要なのがその「内容の明確性」です。遺言の主旨が不明確であると、解釈の余地が生じ、争いの原因となります。
具体的には、遺言により財産を受け取る相続人の氏名を明確に記載し、その遺贈物(財産)も具体的に記述します。例えば「長男にマンションを譲る」と書くのではなく、「長男(フルネーム)に下記住所のマンション(物件名や部屋番号)を譲る」と書くなど、具体的で紛争を招かない表現が求められます。
また、可能であれば、遺言書作成の意図や考え、場合によっては感謝を伝えたりと、詳しく記述すると、これにより遺言書の解釈が容易になります。これによって解釈さえ明確にしやすいものであれば不要だった相続人間のトラブルを未然に防ぐことができます。専門家の助けを借りて適切な表現を用いることも検討しましょう。

(2)相続人への配慮

遺言書を作成する際は、遺産分割のバランスと相続人との関係性を考慮することが重要です。特に、遺言内容が公平であると感じられない場合、相続トラブルの原因となり得ます。
例えば、相続財産の中で評価が難しいもの、例えば家族の思い出の品などは、感情的な価値が絡むため注意が必要です。そのような財産については、事前に相続人たちと話し合い、納得がいく形で遺言書に記載することが望ましいです。
なるべく全ての相続人が納得できるよう遺言を残すことで、相続トラブルを回避するための一助となります。

(3)保管場所の選定

遺言書の保管場所の選定は、重要なポイントです。遺言書は大切な書類なので、紛失や焼失を防ぐため、安全な場所に保管する必要があります。一つの方法は、自宅の金庫など、家庭内の安全な場所に保管することです。しかし、この方法では万が一の事態を考慮するとリスクも存在します。2020年より自筆証書遺言書保管制度というものも始まっており、手数料はかかりますが法務局に自筆証書遺言書の保管を申請することができます。また法務局で保管された自筆証書遺言書は、検認手続が不要となります。
また、ご本人で保管される場合、家族や信頼できる友人に保管場所を伝えておくことも大切です。遺言がないものと思われ遺産分割協議がなされてしまうと、後で見つかった時にトラブルの元となりかねません。

6.遺言の効力とその発生タイミング

遺言の効力は、遺言者が亡くなった際に発生します。

遺言の効力は、遺言者の意思が尊重され、財産の分配や相続人の指定などが可能となります。しかし、全てが自由に設定できるわけではありません。遺留分と呼ばれる一定の範囲内での財産の分配が必要となるため、その点は特に注意して遺言書を作成する必要があります。

遺言の効力が発生するタイミングは、遺言者ご自身が亡くなった時点から始まりますので、遺言者が生存中であれば、遺言書による財産の分配などは実施されません。つまり、遺言書は遺言者が亡くなった後の世界を規定する文書であるということです。
また、遺言の開封には適切な手続きが必要です。公正証書遺言であれば不要ですが、内容が他者に(場合によっては存在も)知られていないものであるため、家庭裁判所において開封する「検認」という手続きがあります。適切な手続きを経て初めて遺言の内容が明らかにされ、その指示が適用され始めます。

遺言書を巡るトラブルとその解決方法

(1)遺言書に関する典型的なトラブル

遺言書に関するトラブルは多岐にわたりますが、その中でも特に頻出するのが、遺言書の「存在が知られていない」、「内容が不明確」、「遺言者の意思表示が疑われる」という3つのケースです。
1つ目は、遺言書が存在しているにも関わらず、遺族にその存在が知られていない、もしくは遺言書の保管場所が不明で見つけられない場合です。
2つ目は、遺言書の内容が不明確で、具体的な遺産の分け方が書かれていない、または遺産をどの相続人に譲るかが明記されていない場合です。
3 つ目は、遺言者が遺言書を作成した際に、十分な意思能力がなかった、もしくは無理やり書かせられたといった疑念が生じる場合です。これらのトラブルは、争いの種となりや すく注意が必要です。

遺言について弁護士に相談

遺言書作成にあたり、専門的な知識を持つ弁護士に相談することは大変有効です。自筆遺言はご自身で作成可能ですが、相続税や遺留分の問題など、法律に関わる問題も多いですし、書き方などによっては無効となってしまうこともあるので専門家のアドバイスが有用です。
また、公正証書遺言は必ず公証人役場での手続きが必要ですが遺言書の文案の作成を弁護士に依頼することができます。公正証書に関わる手続きも併せて任せることができ、弁護士を遺言執行者に指定することも可能です。
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