あおり運転のニュースが相次いで報道されています。2020年6月には道路交通法が改正され、あおり運転が厳罰化されました。取締りが強化されたとはいえ、日常生活であおり運転に巻き込まれる危険はゼロではありません。警察庁の統計によると、運転者の3人に1人があおり運転の被害に遭っています。

それでは、あおり運転に巻き込まれた場合はどのように対処すれば良いのでしょうか?

2020年6月に新設されたあおり運転罪について解説したうえで、あおり運転に巻き込まれた場合の適切な対処法と示談交渉のポイントを紹介します。

「あおり運転」とは?

Q
あおり運転とは?
A

あおり運転とは、急ブレーキをかけたり車間距離を詰めることによって、他の車の通行を妨害することです。死傷事故につながる危険性が高いため、社会問題となっています。

妨害運転罪(あおり運転罪)の新設

あおり運転に関するこのような流れを受けて、2020年6月には道路交通法で「妨害運転罪(あおり運転罪)」が新設されました。

それまでは、あおり運転そのものを処罰する規定が無かったため、刑法の暴行罪や過失運転致死傷罪、危険運転致死傷罪などを適用して取締りが行われていました。しかし今回の法改正によって、事故が起きていなくても、直接あおり運転そのものを取り締まることができるにようになりました。

「あおり運転」として処罰の対象となる行為

道路交通法では、下記の10種類があおり運転として定められています。

  1. 車間距離不保持(車間距離を極端に詰める)
  2. 急ブレーキ禁止違反(急ブレーキをかける)
  3. 進路変更禁止違反(急な進路変更を行う)
  4. 追い越し違反(危険な方法で追い越しをする)
  5. 通行区分違反(対向車線にはみ出して走行する)
  6. 安全運転義務違反(幅寄せや蛇行運転をする)
  7. 減光等義務違反(執拗にパッシングする)
  8. 警音器使用制限違反(不必要にクラクションを鳴らす)
  9. 最低速度違反(高速道路で低速に走行する)
  10. 高速自動車国道等駐停車違反(高速道路で駐停車する)

あおり運転の罰則

他の車両の通行を妨害する目的で上記の行為を行った場合、3年以下の懲役または50万円以下の罰金の対象となります。免許取消し(欠格期間2年)及び違反点数25点の行政処分の対象にもなります。

また、高速道路上で上記の運転をして著しい危険を生じさせた場合には、さらに重い罰則が定められています。刑事罰としては5年以下の懲役または100万円以下の罰金、行政処分としては免許取消し(欠格期間3年)及び違反点数35点の対象となります。

自転車のあおり運転の罰則

あおり運転が厳罰化されたのは、自動車だけではありません。自転車についても、下記の7つの行為があおり運転罪の対象となります。

  1. 車間距離不保持(車間距離を極端に詰める)
  2. 急ブレーキ禁止違反(急ブレーキをかける)
  3. 進路変更禁止違反(急な進路変更を行う)
  4. 追い越し違反(危険な方法で追い越しをする)
  5. 通行区分違反(対向車線にはみ出して走行する)
  6. 安全運転義務違反(幅寄せや蛇行運転をする)
  7. 警音器使用制限違反(不必要にベルを鳴らす)

上記の危険行為を繰り返して3年間に2回以上摘発された場合、公安委員会から命令書が交付され、指定された場所で自転車運転者講習を受講することが義務付けられます。受講手数料は地域によって異なり、受講しなかった場合には5万円以下の罰金の対象となります。

あおり運転の実際の摘発事例

2020年6月にあおり運転罪が新設されて以来、警察による摘発が全国で相次いでいます。刑事事件に発展するケースも出てきています。

急な割り込みによって衝突事故が生じたケース

2020年8月、全国で初めてあおり運転罪による逮捕が行われました。警察庁の発表によると、国道を走行していた40代の男性が、前方の車両に急接近してクラクションを鳴らし続け、さらに被害車両を追い越して突然前方に割り込んだため、衝突事故が発生しました。衝突の直後、この男性は車を降りて被害者の首や肩をつかみ、「包丁で刺すぞ」などの言葉で脅しました。

高速道路で後続車両を停車させたケース

2020年9月、全国で初めて高速道路上の運転について書類送検が行われました。50代の男性が高速道路上に車を停めて、後続車両の通行を妨害した事案です。片側1車線の高速道路であったため、何台もの後続車両が停車を余儀なくされました。

幸いなことに怪我人は出ませんでしたが、高速道路上の行為で危険性が高いことから、加害者の男性が逮捕されることになりました。この事件では、周囲の車両に搭載されていたドライブレコーダーの動画が有力な証拠となりました。

あおり運転に巻き込まれたら

どんなに安全運転を心がけていても、公道を運転している限りは、突然あおり運転の被害に遭う可能性はゼロではありません。それでは、あおり運転に遭遇してしまったら、どのように対処すれば良いのでしょうか?

あおり運転の80%以上は、「後方からの著しい接近」です(警察庁発表の統計)。後ろから車間距離を詰められた場合、まずは車線変更をして道を譲りましょう。慌てて加速をしたり、急ブレーキを踏んでしまうと、事故につながるおそれがあります。落ち着いて冷静に、ゆっくりと車線変更をしましょう。

それでも執拗に追いかけてくる場合は、近くの交番や警察署に移動しましょう。警察が近くにない場合は、サービスエリアやパーキングエリア、駅やバスターミナルなどでも構いません。ポイントは、「人通りが多く明るい場所」を選ぶことです。適切な場所が見つからない場合は、コンビニの駐車場など防犯カメラが設置されている場所を選びましょう。

上記の場所に車を停めたら、全ての窓を閉めてドアに鍵をかけましょう。相手が車から降りて向かってくる場合は、迷わず100番通報しましょう。警察が到着するまでは、絶対に車から降りてはいけません。車から降りると、相手から暴行を受けるおそれがあります。相手が窓を叩いたり、「出てこい」と脅してきた場合でも、静かに車内で待機しましょう。

助手席や後方座席に同乗者がいる場合は、携帯電話やカメラで録画してもらいましょう。車内にドライブレコーダーを設置している場合は、録音モードになっていることを必ず確認しておきましょう。先ほど紹介した摘発事例でも、ドライブレコーダーの記録が有力な手がかりとなっています。わざわざ警察が駆けつけても、証拠が無い以上は逮捕することができません。ドライブレコーダーの映像は、損害賠償請求を行ううえでも貴重な証拠となります。

あおり運転の示談交渉

あおり運転の被害に遭ってお怪我をした場合、加害者に治療費を請求することができます。車体や持ち物が破損した場合は、修理費又は時価相当額が損害賠償の対象となります。

あおり運転に起因する事故であっても、通常の交通事故と同様に、保険会社を通して示談交渉を行います。警察が処理してくれるのは、刑事事件の手続きのみです。賠償金の示談交渉は民事事件であるため、警察は対応することができません。加害者に損害賠償請求をする場合は、ご自身で交渉するか弁護士に依頼する必要があります。

あおり運転によってお怪我が生じている場合には、賠償金が高額となるため交渉が難航するおそれがあります。このような場合には、弁護士にご相談されることをお勧めいたします。

あおり運転の損害賠償請求では、ドライブレコーダーの動画が有力な証拠となります。携帯電話やデジカメで撮影したビデオも重要です。ループレコーディング(繰り返し録画)となっている場合は自動消去されるおそれがありますので、必ず別の場所に移しておきましょう。動画が無いとあおり運転を立証することが困難となる場合がありますので、弁護士にご依頼されるまで大切に保管してください。

あおり運転の被害でお悩みの方は弁護士にご相談ください

今回は、あおり運転に巻き込まれた場合の対処法やあおり運転の法改正について解説しました。あおり運転の被害でお悩みの方は、交通事故を弁護士にご相談ください。当事務所では、交通事故に関するご相談を無料で受け付けております。無料相談のご予約は、お電話やお問い合わせフォームで受け付けております。「あおり運転に巻き込まれて困っている」というお客様は、お気軽にご相談ください。

日本全国どこからでもご相談いただけます。交通事故は弁護士へお気軽にご相談ください。あおり運転に詳しい弁護士がご相談に対応いたします。

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