未成年のお子さまが交通事故にあった場合、大人が事故にあった場合とどのように異なるのでしょうか?お子さまが事故にあった場合でも、治療費や慰謝料は基本的には変わりません。未成年であるからといって、慰謝料が減額されることもありません。

しかし、被害者が未成年である場合、大人の場合と請求方法が異なる点もあります。例えば、サラリーマンが事故でお仕事を休んだ場合、お給料が減った分を「休業損害」として請求できます。一方で、お仕事をしていないお子さまについては、休業損害を請求できないことが原則ですが、事故によって就職が遅れた場合には、その期間だけ収入が減ることになるため、損害賠償請求の対象となります。

このように、お子さまが交通事故の被害にあった場合、大人が被害にあった場合と異なる点がいくつかあります。大人と「同じ点」と「異なる点」をきちんと理解しなければ、適正な賠償金を請求することはできません。

それでは、未成年のお子さまが交通事故にあった場合、どのような点に注意したらよいのでしょうか?今回は、お子さまが交通事故にあった場合の損害賠償について、Q&A形式で分かりやすく解説します。

Q1. 学費について

交通事故によって長期入院したため、高校を留年することになりました。私立の高校に通っているため学費が高く、1年間余分に学費を支払うと家計に大きな負担となります。1年分の学費については、加害者に請求できるのでしょうか?

A1. 交通事故によって発生した余分な学費は加害者に請求できます。

お怪我の治療のために留年せざるをえなかった場合は、余分に発生した学費や授業料を請求できます。ただし、「交通事故が原因で留年せざるをえなかったこと」を証明する必要があります。ご質問のケースでは、入院によって学校が定める出席日数を満たすことができなかったのであれば、「交通事故が原因で留年せざるをえなかった」と認められるため、1年分の学費について請求できます。

一方で、留年の原因が交通事故であると認められない場合は、加害者に学費を請求することはできません。例えば、事故にあう前からお子さまの素行不良や成績不振を学校から注意されており、このことを理由として留年が決定された場合は、交通事故が原因とはいえません。このため、留年のために必要となった学費は損害賠償の対象とはなりません。

Q2. 一人暮らしの費用について

交通事故によって大学を1年間留年することになりました。現在一人暮らしをしているため、1年分の家賃が余分にかかります。学費に加えて、家賃も請求することができるのでしょうか?

A2. 1年分の家賃相当額を損害として請求できます。

親元を離れて一人暮らしをしている場合は、留年することによって1年分の家賃が余分にかかることになるため、交通事故の損害として加害者に請求できます。ただし、実家が遠方にある場合など、「一人暮らしをするための正当な理由」が必要です。

なお、家賃のかからない大学の寮に住んでいる場合や、奨学制度により家賃を払っていない場合には、家賃を請求することはできません。

Q3. 就職が遅れたことによる損害

交通事故によって大学を留年したため、就職が1年遅れました。同級生よりも1年間遅れて社会に出ることになり、1年間無収入の期間が長くなりました。このような損害も加害者に請求できるのでしょうか?

A3. 交通事故の損害として請求できます。

「事故にあわなければ得られたはずの収入」は、交通事故の損害として請求できます。ご質問者のケースでは、就職が遅れたことによって無収入の期間が長くなったわけですから、この損害は加害者に請求できます。過去の裁判例では、このような損害を「休業損害」として認めたものや「逸失利益」として認めたものがあり、計算方法はケースバイケースですが、いずれにしろ就職遅れの損害が認められることに争いはありません。

就職遅れによる損害は、事故がなければ得られたであろう初任給で計算します。

なお、事故にあう前に内定先が決まっていた場合については、内定先の会社の給与規程をもとに損害額を算定します。

Q4. 無駄になった留学費用

現在高校2年生の子どもが交通事故にあいました。夏休みの期間だけイギリスに短期留学する予定だったのですが、ドクターストップがかかり、留学を諦めました。留学費用は既に支払っており、留学先からは「受け取った費用は返還できない」と言われました。無駄になった留学費用は、加害者に請求できるのでしょうか?

A4. 交通事故が原因で留学を断念せざるをえなかった場合は請求できます。

交通事故が原因でやむなく留学をキャンセルした場合は、事故による損害と認められますので、加害者に留学費用相当額を請求できます。ご質問のケースでは、「医師が留学をやめるように指示した」という事実がありますので、交通事故が原因であると認められます。入通院期間が留学時期と重なっていた場合も、留学を断念せざるをえない事情として認められます。

留学の直前に事故にあった場合、ホテル等のキャンセル代がかかったり、飛行機代が返ってこないことがあります。これらの費用についても、交通事故が原因と認められれば、損害賠償の対象となります。

Q5. 幼児の飛び出し事故

3才の息子を自宅のお庭で遊ばせていたところ、目を離したすきに道路に飛び出してしまい、車とぶつかって怪我をしました。車の運転手は、「親の不注意で飛び出してきたのだから、親の責任だ」と言って、賠償に応じてくれません。親の不注意によって事故が起こった場合は、加害者は賠償責任を負わないのでしょうか?

A5. 親の不注意の度合いを考慮に入れたうえで損害額を算定します。

お子さまが3才である場合、お子さまには事理弁識能力(物事の是非を判断する能力)が無いと考えられますので、保護者や監督者に過失(不注意)があった場合は、「被害者側の過失」として賠償額が減額されます。

「被害者側の過失」とは、「被害者本人である幼児と身分上ないしは生活関係上一体をなすとみられる関係にある者の過失」を意味します(最高裁判所昭和42年6月27日判決参照)。具体的には、お子さまの父親や母親、同居している祖父母や叔父・叔母等の親族等が含まれます。

ご質問のケースでは、親が目を離したすきにお子さまが道路に飛び出したということなので、親に不注意があったと認められ、賠償額が減額されます。不注意の度合いによって賠償額が減額されることを、「過失相殺(かしつそうさい)」といいます。

ただし、過失相殺は、あくまで「賠償額を減額する」という制度です。加害者の責任が全面的に免除となるわけではありません。ご質問のケースでは、加害者である運転手は、住宅街を車で走行していたのですから、子どもの飛び出し等を予測して十分に注意しなければいけない義務があります。運転手がこの注意を怠ったのであれば、運転手にも過失があると認められ、賠償責任を負います。

もし加害者が「賠償責任が無い」と言い張るのであれば、裁判等の法的手段を視野に入れる必要がありますので、弁護士にご相談ください。

お子さまの交通事故でお悩みの方は当事務所にご相談ください

今回は、お子さまが交通事故にあった場合の損害賠償請求の方法について紹介しました。お子さまの交通事故については、「大学生だから休業損害をもらえないだろう」と誤解している方や、「子どもだから慰謝料は低くなるのだろう」と誤解している方がいらっしゃいます。しかし、そんなことはありません。お子さまが被害者である場合にも、慰謝料は大人と同様の基準で請求することができますし、大学生であっても休業損害が認められる可能性があります。

ただし、損害額の計算については大人と異なる点がありますので、この点を正しく理解しなければ、適正な賠償金を請求することはできません。「子どもの事故についてどのように対応すればよいのか分からない」というお客様は、当事務所の無料相談をご利用ください。当事務所では、交通事故に関するご相談は無料で受け付けておりますので、お気軽にご利用ください。 無料相談のご予約は、お電話やお問い合わせフォームで受け付けております。ご相談の際には、お子さまに同席していただくことも可能です。お子さまの同席をご希望の場合は、ご予約の際にその旨スタッフにお伝えください。