専業主婦(主夫)の方が事故にあってお怪我をすると、家族の食事や洗濯などが滞りますし、お子様の送り迎えにも支障が出ます。お怪我が重い場合には、夫(妻)に会社を休んでもらい、家事や育児を交代してもらう必要があります。

このように、家事や育児に支障が出ている場合の損害は、相手に請求できないのでしょうか?

専業主婦(主夫)の方は、給与としての金銭を受け取っていないものの、家事や育児などの「労働」をしているという意味では、サラリーマンやOLと同様です。このため、お怪我によって「労働」に支障が出ている場合には、その損害を「休業損害」として加害者に請求できます。

「休業損害」とは、事故の怪我によって労働ができなくなったり、労働が困難となることです。裁判実務でも、専業主婦(主夫)について休業損害を認めることは一致しています。

それでは、専業主婦(主夫)の方が事故にあった場合、どれくらいの金額が請求できるのでしょうか?派遣やパートなどに勤めながら兼業主婦(主夫)をしている方の場合は、どのような計算になるのでしょうか?

今回は、専業主婦(主夫)の休業損害について分かりやすく解説します。

Q1. 専業主婦(主夫)の休業損害の基本的な計算方法

事故で怪我を負ったため、医師から「少なくとも20日間は自宅で絶対安静でいること」という指示を受けました。私は去年出産のために会社を退職しているため、現在収入はありません。家事や育児が困難となったことについては、加害者にどのように請求したら良いのでしょうか?

A1. 賃金センサスを用いて請求します

専業主婦(主夫)の方であっても、「休業損害」として賠償金を請求できます。

今回のご質問では、20日間も家事や育児などの労働に支障が出たということですので、20日分の休業損害を請求できます。

それでは、休業損害の計算はどのように行うのでしょうか?

専業主婦(主夫)の家事労働の価値は、賃金センサスを用いて計算します。賃金センサスとは、日本全国の労働者の平均賃金の統計です。

2020年3月31日に発表された最新の賃金センサスによると、全女性の全年齢の平均賃金は年間388万円です。1日あたりにすると、日額1万630円です。

よって、今回のご質問のケースでは、下記の計算となります。

1万630円(日額)×20日(休業期間)=21万2600円(休業損害)

なお、上記計算は、20日間まったく家事が出来なかった場合の計算例になります。例えば、半分くらいはの家事はできたということであれば、これに50%をかけることになります。

保険会社の計算では、日額か休業期間のどちらかが不当に低いことが多くあります。

Q2. シングルマザー(ファザー)の休業損害

現在子どもを2人育てていますが、夫とは既に離婚しているためシングルマザーとして子どもを育てています。配偶者がいない場合であっても、休業損害を請求することはできますか?

A2. シングルマザー(ファザー)の方も休業損害を請求できます。

休業損害は、「結婚しているかどうか」ではなく、「家族のための労働をしているか」という点で判断されます。このため、戸籍上の配偶者がいない場合であっても、お子様のために家事や育児などの労働に従事している方については、休業損害を請求できます。

このように、家庭のために家事や育児に従事する人のことを、法律用語で「家事従事者(かじじゅうじしゃ)」といいます。「家事従事者」は、年齢や性別に関わりなく、専業主婦も専業主夫も含まれます。例えば、高齢の要介護状態にあるご両親と同居して介護を行っている人は、「家族のために労働をしている人」と認められますので、家事従事者に含まれます。

つまり、休業損害を請求できるかどうかは、結婚しているかどうかに関わりませんし、お子様がいらっしゃるかどうかにも関わりません。計算方法は、A1でご説明した計算と同様です。

なお、シングルマザー(ファザー)の方は、パートやアルバイトなどによって収入を得ている方も多いと思います。このような場合は、下記Q3をご参照ください。

Q3. 兼業主婦(主夫)の休業損害

週に2日パートに出ており、その他の時間は子供の送り迎えや家事を行っています。事故にあってから2週間ほどパートを休んだのですが、パートを休んだ日について休業損害を請求できますか?

A3. 賃金センサスと比較してお客様にとって有利な方法で請求いたします。

兼業主婦(主夫)の場合は、下記2つのケースに分類されます。

①実収入が賃金センサスよりも低いケース

最新の賃金センサスによると、全女性の全年齢の平均給与は年収388万円、月額およそ32万円です。派遣やパート、アルバイトによって収入を得ている方であっても、賃金センサスで計算した給与の方が高い場合は、賃金センサスを用いて請求します。

②実収入が賃金センサスよりも高いケース

賃金センサスよりも実収入の方が高額となるケースでは、実収入をもとに休業損害を計算します。この場合は、事故にあう前の直近3ヶ月分の給与明細をもとに、平均給与を計算します。

今回のご質問のケースでは、パートの時給がいくらかによって①になるか②になるかが決まります。週2日のパート勤務であれば、①に該当する可能性が高いと考えられます。

ご自身のケースが①に該当するのか②に該当するのか分からないという場合は、当事務所の無料相談をご利用ください。当事務所では、交通事故に関するご相談は無料で受け付けておりますので、お気軽にご利用ください。

Q4. 家事に支障が出ていることの証明について

相手方の保険会社から、「怪我は軽症であり、家事に支障が出るほどではないので、休業損害は払えない」と言われました。しかし、医師からは「1ヶ月間は重いものを持たず、できるだけ安静にしているように」と指示されています。このため、お米や野菜などの買い物に行くことができず、洗濯物を運ぶこともできないため、家事代行のサービスを利用して何とかやりくりをしています。このような場合も、保険会社の言いなりになるしかないのでしょうか?

A4. 医師の診断書、日記やメモ、家事代行の領収証などを用いて立証します。

「お怪我によって家事に支障が出ているか」は、客観的な資料をもとに計算します。医師が「できるだけ安静にしている必要がある」と指示したのであれば、「家事を控えるように」という意味合いが含まれていますので、休業損害を請求できます。

このような場合は、医師の診断書をもとに休業損害を立証します。診断書の中に、「安静」「絶対安静」「歩行障害」「麻痺」「家事に支障がある」などの言葉があれば、家事に支障が出ていることの証拠となります。

医師の診断書以外にも、家事ができないことを記した日記やメモも証拠になります。今回のご質問では、家事代行サービスを利用したということなので、そのレシートや領収証があれば証拠になります。

最後に

今回は、専業主婦(主夫)の方が事故にあって家事労働に支障が出ている場合について、休業損害の計算方法を紹介しました。「自分は専業主婦(主夫)だから休業損害をもらえないだろう」と誤解している方が多いのですが、そんなことはありません。「労働に従事する」という点は、サラリーマンやOLの方と同様です。きっちりと相手方に請求しましょう。

「自分の場合にはどれくらいの休業損害を受け取ることができるのか知りたい」というお客様は、当事務所の無料相談をご利用ください。家事に支障が出ていることについての日記やメモなどの資料を持ってきていただければ、弁護士が概算をお伝えいたします。

当事務所では、交通事故に関するご相談は無料で受け付けておりますので、お気軽にご利用ください。無料相談のご予約は、お電話やお問い合わせフォームで受け付けております。「休業損害の計算が難しくてよく分からない」というお客様は、ぜひ一度無料相談をご利用ください。