会社の従業員が仕事中に交通事故に遭った場合、労災によって治療費や休業の補償を受けることができます。それでは、お昼休みに事故に遭った場合や、通勤の途中で事故に遭った場合は、労災の対象になるのでしょうか?
今回は、労災の対象になるケースとならないケースについて、具体例を上げながら分かりやすく解説します。
通勤途中の交通事故
通勤の途中で交通事故に遭った場合、労災の対象となります。
通勤途中の事故は「通勤災害」と呼ばれます。マイカー通勤の場合はもちろんのこと、徒歩通勤の途中で車にひかれた場合や、自転車通勤をしていて衝突事故に遭った場合も、労災の対象となります。
それでは、通勤の途中で寄り道をした場合はどうなるのでしょうか?実は、会社の帰りにコンビニやスーパーで買い物をした場合は、労災の対象になる場合とならない場合があります。
労災の対象になるかどうかの判断は、「通勤を逸脱・中断したか」が基準となります。
例えば、通勤経路の途中にあるコンビニに立ち寄って、缶コーヒーを1本だけ購入した場合は、通勤を逸脱した行為であるとはいえません。よって、事故に巻き込まれた際は労災を申請することができます。
一方で、通勤経路を外れてスーパーに寄って日用品を買い物をした場合は、通勤を中断する行為といえます。また、通勤経路の途中で友人や家族の家に立ち寄った場合も、通勤を逸脱する行為といえますので、労災の対象にはなりません。
お昼休み中の交通事故
お昼休み中の事故であっても、会社の施設内を移動中の事故あれば、労災の対象となります。
例えば、工場での作業を終えて、社員食堂に移動するために自転車や車で移動していた際に事故に遭った場合は、労災が適用されます。
一方で、お昼休みに私的な行為をしていた場合は、労災の対象とはなりません。
例えば、個人的な用事で郵便局や銀行に行くために移動していた場合や、レストランに行くために車や自転車で移動していた場合は、労災の適用外となります。
出張中の交通事故
自宅から出張先に向かう途中の交通事故は、労災の対象となります。
車やバイク、バスやタクシー等、どのような移動手段であっても構いません。出張先に向かう途中の事故であれば、労災の範囲に含まれます。
自宅から出張先まで最短険路を通る必要はありませんが、合理的な経路を通っていることが必要です。カーナビや地図アプリで検索して表示される経路であれば、合理的な経路だといえるでしょう。
一方で、友人や親戚に会うために遠回りをした場合は、合理的な経路とはいえませんので、労災の対象外となります。
出張中は比較的自由に時間が使えるため、お土産の購入や観光に時間を使うことがあるかもしれません。
このような場合は、その行為が「業務に関連する行為か」という基準によって判断されます。
例えば、取引先との付き合いで観光名所を訪問した場合は、業務に関連する行為といえますので、労災の対象となります。会社の上司にお土産を買う場合や、営業先に持っていくための手土産を購入する場合も、業務に関する行為といえます。
一方で、商談後に時間が余ったために一人で観光地を巡る場合は、プライベートな行為であるため、業務に関する行為とはいえません。
転勤・単身赴任に伴う交通事故
転勤や単身赴任のために移動中に事故に遭った場合は、労災の対象となります。
例えば、東京勤務のサラリーマンが仙台に転勤となった際に、その移動中に事故に巻き込まれた場合は、労災を申請することができます。仙台での転勤を終えて東京に戻る場合も、労災の対象となります。
単身赴任者についても、週末の移動の際に事故に遭った場合は、労災の対象となります。配偶者(夫・妻)や子どもに会うために帰省する場合や、介護が必要な父母の世話で帰省する場合も、労災を申請することができます。
弁護士に依頼するかどうかお悩みの方はお気軽にご相談ください
今回は、仕事中の交通事故について労災の対象になるケースとならないケースを紹介しました。今回のご説明はあくまで一般的なケースを想定した説明であり、労災が適用されるかどうかはお客様の状況によって異なります。ケースバイケースでの判断が必要となりますので、「自分の場合には労災が適用されるのだろうか」という具体的なご質問をお持ちの方は、当事務所の弁護士にご相談ください。
当事務所では、交通事故のご相談は無料で受け付けております。無料相談のご予約は、お問い合わせフォームやお電話で受け付けております。ご相談は秘密厳守で対応いたしますので、「勤務先に知られずにこっそり相談したい」という方も、安心してご利用いただけます。
当事務所では、日頃から交通事故に力を入れて取り組んでおり、交通事故の研修や勉強会等を定期的に開催して研鑽に励んでおります。仕事中の交通事故でお悩みの方は、お気軽に当事務所の無料相談をご利用ください。