車が盗まれて交通事故を起こされた場合、その事故の責任は誰が負うのでしょうか?車の所有者は責任を負うのでしょうか?
警察庁の統計によると、2019年の自動車の盗難件数は7,143件にのぼり、車が盗まれるリスクは日常生活の中に潜んでいます。
そこで盗難車が事故を起こした場合の責任の所在について解説します。最新の最高裁判所の判決や自動車保険の補償についても紹介しますので、盗難車の事故でお悩みの方は参考にしてください。
車が盗まれて事故が起きた場合の賠償責任は?
盗難車が事故を起こした場合、原則として運転手が責任を負います。
車を盗んだ犯人が運転していたのであれば、その犯人が事故の責任を負います。事故に巻き込まれてケガをした人がいれば、治療費や慰謝料などは犯人が支払う義務を負います。
このように、車を盗んだ犯人が賠償責任を負うことが原則です。車の所有者に事故の責任は生じません。
ただし例外的に、車の所有者に過失(落ち度)が認められる場合には、所有者も事故の責任を負うことがあります。それでは、どのような場合に所有者の責任が発生するのでしょうか?
所有者が責任を負うケース
車の所有者本人が事故を起こしたわけではないので、所有者が責任を負うのは、車両の管理状況に落ち度があり、第三者による交通事故を容認していたとみられても仕方ないといった事情がある場合に限られます。
最高裁判所の判断
2020年1月21日、盗難車が交通事故を起こした場合の責任について、最高裁判所で判決が出されました。
この裁判は、会社の独身寮に駐車していたワゴン車が盗まれて、車を盗んだ犯人が居眠り運転をして大型トラックと追突したという事案です。ワゴン車を所有する会社は、内規によってワゴン車の鍵の保管場所を指定していましたが、従業員がそのルールを守らず、車内の日よけに鍵をはさんだまま駐車していました。このため、民法709条の過失が認められるかが争われました。
最高裁判所は、会社が内規を定めてきちんと従業員を指導していたことを重視して、「会社には過失が無い」と判断しました。会社の内規では、車のドアを施錠したうえで独身寮の食堂で鍵を保管することが義務付けられていました。さらに、ワゴン車を駐車する場所は、門や壁によって公道から隔てられていたため、会社関係者以外の立ち入りが禁止されていることは誰の目にも明らかでした。このような事情から、「車の保管状況に落ち度があるとはいえない」と判断されました。
この事件で真っ先に責められるべき人物は、車を盗んで居眠り運転をしていた窃盗犯です。会社の従業員にわずかな落ち度があったとしても、犯人の責任の重さと比較すると、非難されるほどのものではありません。裁判所は、このようなバランスも考慮したうえで、会社の責任を否定したものと考えられます。
自動車保険の補償
それでは、盗難車が事故を起こした場合、自動車保険の補償を受けることはできるのでしょうか?
被害者に対して責任を負わない場合
所有者が事故の責任を負わない場合であっても、事故で車が破損した場合は修理費がかかります。自動車保険に車両保険を付けている場合は、修理費用は保険でカバーされます。盗難車が戻ってこない場合には、全損(修理ができない状態)として扱われるため、車両の時価相当額の補償を受けることができます。
被害者に対して責任を負う場合
所有者が事故に対して責任を負う例外的なケースでは、自賠責保険と任意保険の対象となります。
事故によってケガ人が出た場合は、対人賠償保険によって治療費や慰謝料が支払われます。事故の際に他人の家に衝突した場合は、対物賠償保険によって住宅の修理費用が支払われます。
交通事故でお悩みの方はお気軽にご相談ください
今回は、盗まれた車が事故を起こした場合の所有者の責任と自動車保険の補償について説明しました。原則として、事故の責任を負うのは車を盗んだ犯人です。しかし、ごく稀に、所有者の管理責任が問われることがあります。このように、盗難車による事故は法的に複雑な示談交渉となるおそれがありますので、お悩みの方は交通事故に強い弁護士にご相談されることをお勧めいたします。
サリュは交通事故の解決実績が2万件を超す、交通事故に強い弁護士事務所です。当事務所では、日頃から交通事故に力を入れて取り組んでおり、交通事故に関するご相談は無料で受け付けております。交通事故のご相談は、お問い合わせフォームから申し込んでいただくことが可能です。お電話でのご予約も受け付けております。交通事故のトラブルに巻き込まれた方は、どうぞお早めにご相談ください。
日本全国どこからでもご相談いただけます。交通事故は弁護士へお気軽にご相談ください。交通事故に詳しい弁護士がご相談に対応いたします。
北海道 | 北海道 |
---|---|
東北 | 青森県、岩手県、秋田県、宮城県、山形県、福島県 |
関東 | 茨城県、栃木県、群馬県、埼玉県、千葉県、東京都、神奈川県 |
中部 | 新潟県、富山県、石川県、福井県、山梨県、長野県、岐阜県、静岡県、愛知県 |
近畿 | 三重県、滋賀県、奈良県、和歌山県、京都府、大阪府、兵庫県 |
中国 | 岡山県、広島県、鳥取県、島根県、山口県 |
四国 | 香川県、徳島県、愛媛県、高知県 |
九州 | 福岡県、佐賀県、長崎県、大分県、熊本県、宮崎県、鹿児島県、沖縄県 |
交通事故のご相談は、弁護士法人サリュへ。弁護士法人サリュは交通事故解決実績20000件以上の安心してご依頼いただける弁護士法人です。
弁護士法人サリュは交通事故解決実績20000件以上の安心してご依頼いただける弁護士法人です。