物損事故は、人身事故と比べると損害項目が少なく、修理しないと日常生活に支障があるので、早期に解決する必要があります。しかし、物損事故でも保険会社と揉めるケースは少なくなく、交通事故を弁護士に依頼したいというお客様もたくさんいらっしゃいます。
そこで、物損事故を弁護士に依頼するメリットとデメリットを紹介します。物損事故を弁護士に依頼しても損をしないためのポイントについてもご説明しますので、物損事故でお悩みの方は参考にしてみてください。
そもそも「物損事故」とは?
「物損事故」とは、車両や持ち物等が壊れる事故のことを指します。これに対して、人が怪我をしたり死亡したりする事故のことを、「人身事故」といいます。
交通事故で犬や猫等のペットがお怪我をした場合は、物損事故に分類されます。飼い主にとってペットは大切な家族の一員ですが、法律上は「物(財産)」として扱われます。このため、ペットがお怪我をした場合や死亡した場合は、「物損事故」として処理されることになります。
物損事故を弁護士に依頼するメリットとデメリット
物損事故を弁護士に依頼する場合、どのようなメリットとデメリットがあるのでしょうか?
① 物損事故を弁護士に依頼するメリット
人身事故と比べると、物損事故は損害項目が事故直後から確定するため、示談の手続きは比較的スピーディーに進みます。しかし、すべての物損事故がスムーズに解決するわけではありません。当事務所にも、物損事故で保険会社と揉めているお客様の声がたくさん寄せられています。
例えば、車の修理費用の見積もりが30万円であるにも関わらず、保険会社が「今回のケースでは修理代として10万円までしか払えません」と言ってくることがあります。修理費用について折り合いがつかないと、修理を始めることができず、代車を使用し続けることになります。代車を使用する期間が長引くと、保険会社が「そろそろ代車を返してください。まだ修理が済んでいないのであれば、自分でお金を払ってレンタカーを借りてください」と要求してきます。
このように、物損事故であっても保険会社とトラブルになるケースは珍しくありません。上記の例以外にも、過失割合や評価損について争いが生じると、紛争が長期化する傾向があります。
弁護士に依頼していれば、このような保険会社との面倒な交渉を任せることができます。受任後は保険会社からの電話や手紙は全て弁護士が受け取りますので、空いた時間はお仕事やご家族のために費やすことができます。保険会社からの無理な要求に悩むことも無くなり、お客様のストレスが軽減されます。
また、物損時に交渉で解決した過失割合が、人身存在の示談時にも流用されることが多きため、きちんと、物損の過失をつめておくことは、将来における慰謝料などの計算に影響を与えます。
② 物損事故を弁護士に依頼するデメリット
物損事故では、損害賠償として請求できる対象が「事故で壊れた物(財産)」に限られます。例えば、車体の修理費用、代車料、休車損害です。
人身事故とは異なり、慰謝料(事故でつらい思いをしたことに対する賠償)や休業損害(お仕事を休んで収入が減収したことに対する賠償)を請求することはできません。賠償金の項目が少ないため、弁護士に依頼したとしても、賠償金が増額できる余地は少ないことが一般的です。
たとえ賠償金が増額したとしても、人身事故のように数十万、数百万単位で大幅に賠償金がアップする可能性は低く、弁護士費用の方が高くなるおそれがあります。
物損事故でも損をしないためのポイント
それでは、物損事故を弁護士に依頼しても損をしないためには、どのような点に注意したら良いのでしょうか?
①弁護士費用特約が付いているかを確認する
物損事故では費用倒れとなるおそれがあるものの、ご自身の自動車保険に「弁護士費用特約」が付いている場合は、その心配はありません。
弁護士費用特約とは、交通事故を弁護士に依頼した場合の費用を保険金によってまかなう制度です。特約の内容は保険会社によって異なりますが、一般的には物損事故でもカバーされます。このため、弁護士費用特約が付いていれば、物損事故でも費用倒れになる心配がありません。弁護士費用特約が付いているお客様は、安心して弁護士にご依頼することができます。
弁護士費用特約が付いているかどうかは、ご自身の保険の契約書に書かれています。保険会社の担当者に電話で確認することもできます。「自分の保険に弁護士費用特約が付いているのか分からない」という方は、念のためにご自身の保険会社にお電話をしてご確認しておくことがお勧めです。
なお、弁護士費用特約がカバーする範囲には上限が定められていますが、物損事故のケースで上限を超えるおそれはほぼありません。一般的な上限は300万円とされており、物損事故の弁護士費用が300万円を超える可能性はほぼゼロです。もし万が一、上限を超える可能性がある場合には、お客様が弁護士にご依頼する前にきちんとその旨をお伝えいたします。
② 無料相談で費用の見積もりを確認する
弁護士費用特約が付いていないお客様は、物損事故を弁護士に依頼した場合に費用倒れとなるおそれがあります。費用倒れになるおそれがあるお客様は、交通事故を弁護士に依頼する前に、費用のお見積りをご確認しておきましょう。
弁護士に費用の見積もりをしてもらうためには、法律相談を利用します。「おおよその見積もりで良いから、電話で費用を教えてほしい」というお客様もいらっしゃるかもしれませんが、費用がどれくらいかかるのかは、事故の状況によって異なります。このため、弁護士が直接お客様から事故の状況をお聞き取りしたうえでないと、正確な費用のお見積りをお伝えすることはできない場合が多いです。
法律相談の費用は、法律事務所によって異なりますが、一般的な相場は30分5,000円です。当事務所では、お客様にお気軽にご相談に来ていただけるよう無料で交通事故の法律相談を受け付けております。
当事務所の弁護士がお客様の事故の状況を詳しくお聞き取りした結果、費用倒れになるおそれがあると判断した場合には、弁護士がその旨をはっきりとお伝えいたします。そのうえで、お客様が「弁護士に依頼すると費用倒れになりそうだから、自分で交渉を進めよう」とお考えになった場合は、当事務所にご依頼していただく必要はございません。こちらからむりに契約をおすすめすることはありませんので、安心して無料相談をご利用ください。
③正当な過失割合を主張する
物損事故の修理費用は、客観的に金額が定まるため、保険会社と揉める可能性は高くありません。しかし、物損事故であっても、「過失割合」について揉めている場合は、保険会社と折り合いがつかず紛争が長期化することがあります。
「過失割合」とは、事故が発生した原因がどちらにどれだけあるのかを示す割合です。どちらか一方に全面的な責任があると認定されるケースは少なく、双方に過失があると認定されることが一般的です。
例えば、動いている車同士がぶつかった場合は、「Aさんの責任が80%で、Bさんの責任が20%」というように、それぞれに責任があると認定されます。明らかに片方の不注意が大きい場合に限っては、「Aさんの過失が100%で、Bさんの過失が0%」と認定されます。例えば、赤信号で停車していた車に後方から車が追突したような場合には、追突した車の過失が100%となります。
このように、過失割合は、交通事故の客観的な状況によって決まります。「自分の車は傷つかなかったが、相手の車が傷ついたから、自分は加害者である」ということはありません。反対に、「相手は無傷だが、自分は足を骨折したから、自分は被害者である」ということもありません。たとえお客様が重症を負ったとしても、もしお客様に事故の責任がある場合は、過失割合が大きいと判断されて、賠償金が減額されます。
それでは、こちら側に過失がある場合はどのように賠償金が減額されるのでしょうか?具体例として、下記のケースを考えてみましょう。
お客様の損害額:100万円(修理費用、代車費用等)
お客様の過失:80%
相手方の過失:20%
このような場合は、下記の計算により、過失相殺として80万円が減額されます。相手方から受け取る賠償金は、合計20万円となります。
100万円(損害額)×20%(相手方の過失)=20万円(相手方から受け取る賠償金)
このように、物損事故であっても、過失割合がどれぐらいに認定されるかによって、賠償金額は大きく変動します。こちら側の責任が大きい場合には、相手方から受け取る賠償金がその分だけ減額されます。このため、過失割合について争いが生じている場合には、きちんと正当な過失割合を主張して交渉をすることが重要です。過失があると、相手車両の修理代も負担しないといけないため、弁護士費用を負担してでも、交渉をまかせたほうがいいケースも多いです。
過失割合の判断には、専門知識が必要です。相手方の保険会社から理不尽な過失割合を主張されても、初めて交通事故にあったお客様は反論できないおそれがあります。そもそも、過失割合が理不尽であることに気が付かないかもしれません。交通事故を弁護士に依頼すれば、お客様に代わって正当な過失割合を主張してくれます。お客様の過失割合が低くなれば、お受け取りになる賠償金はその分だけ増額します。
裁判実務では、過去の裁判例を類型化した過失割合の基準が重要とされています。このため、正当な過失割合を主張するためには、交通事故の裁判に関する知識が不可欠です。刑事記録を取り寄せたり、目撃者の証言を分析する等、事故の状況を正確に把握することも必要です。
物損事故でお悩みのお客様は無料相談をご利用ください
今回は、物損事故を弁護士に依頼する場合のメリットとデメリットについて説明しました。物損事故だけのご依頼だと費用倒れとなるおそれもあるため、弁護士費用特約に入っていないかどうか確認をされるのが良いでしょう。怪我もされている場合には、物損からご依頼いただいた方が、過失の交渉も進めることができますので、怪我と併せてご相談ください。
日本全国どこからでもご相談いただけます。交通事故は弁護士へお気軽にご相談ください。物損事故に詳しい弁護士がご相談に対応いたします。
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