脳の構造としては、大きく

  • 大脳
  • 小脳
  • 脳幹

に分かれます。これらを脳実質と呼び、それぞれ異なる構造と機能を持ちます。

頭蓋骨

脳は多数の骨が縫合線で結合する頭蓋骨の内側にあります。

頭蓋冠と頭蓋底

頭蓋骨は、上部から脳を覆って保護する頭蓋冠と、脳の底部を支持する頭蓋底(前頭蓋底・中頭蓋底・後頭蓋底)の二つに区分されます。頭蓋底部には、脳そのものだけでなく、脳を支える重要な血管(動脈)や脳神経などの脳機能に関連する重要で複雑な組織が存在しています。

髄膜

脳は頭蓋骨の内側で、髄膜(外側から硬膜(dura mater)・くも膜(arachnoid mater)・軟膜(pia mater)という3枚の膜)に包まれています。
髄膜の内側に、大脳の表面のシワシワに見える大脳皮質(cerebral cortex)があります。

硬膜は硬い白い膜で脳を保護しています。壁側硬膜と脳側硬膜で構成され、神経や血管が分布しています。

脳脊髄液

くも膜と軟膜の間には、脳脊髄液(髄液。Cerebrospinal fluid (CSF))と呼ばれる無色透明の液体があり、脳は脳脊髄液に浮いている状態となっています。

灰白質と白質

脳の表面にある神経細胞の集まりを灰白質(gray matter)、灰白質の内側にある神経線維の連絡路(軸索)を白質(white matter)と呼びます。中枢神経系組織は、細胞体の有無によって灰白質と白質に分類することができます。

大脳の表面の大脳皮質は、灰白質で覆われていますが、大脳基底核(大脳皮質と脳幹を結びつける神経核が集まっている部分)や視床などの脳の深部にも灰白質は存在します。

大脳(cerebrum)

脳の重さの約80%を占めるのが大脳(cerebrum)です。

大脳皮質

大脳皮質は大脳の最も表側にある無数のシワがある部分です。人間の大脳皮質は、約160億個の神経細胞(ニューロン)で構成されています。前頭葉・頭頂葉・側頭葉・後頭葉が、外側溝(シルヴィウス溝)と中心溝(ローランド溝)と頭頂後頭溝で区別できます。灰白質をさし、視床は含みません。

大脳皮質は

  • 前頭葉
  • 頭頂葉
  • 側頭葉

の総称です。

前頭葉

大脳の前部分にあるのが前頭葉です。前頭葉は、思考や創造性を担う脳の最高中枢であると考えられています。頭部外傷で最も多い症状として、広範な前頭葉障害による高次脳機能障害があります。

高次脳機能障害の受傷機転

交通事故の頭部外傷で、脳が脳幹を中心に前後左右に加速・減速し、動かされることで、特に前頭葉の大脳皮質側に大きな回転を引き起こします。

このため、前頭葉先端部や底部、側頭葉に脳挫傷が発生し、脳内部では「ねじれ」が生じることで前頭葉内側面などに広範囲な損傷をもたらすと、高次脳機能障害となります。(「交通事故後の高次脳機能障害」渡邉修 Journal of the Japanese Council of Traffic Science Vol.17 No.1 2017())

前脳基底部

前脳基底部は、前頭葉の底面後端の部位のことです。前脳基底部の損傷によって引き起こされる健忘は、前向性健忘と逆向性健忘に加えて、作話、注意障害および人格変化などが現れます。( 「前脳基底部損傷による健忘」 船山道隆 高次脳機能研究 31巻3号() )

大脳の機能

大脳は、一次機能高次脳機能を担当します。

脳の一次機能とは

Q
脳の一次機能とは?
A

脳の一次機能とは、知覚や運動などの基本的な機能のことをさします。

脳の高次機能とは

Q
脳の高次機能とは?
A

脳の高次機能とは、空間性の認知、対象の認知、目的を持った行動、言語、記憶、遂行機能などの脳の機能をさします。

小脳

小脳は主に運動調節機能を担当します。全身の筋肉や関節からの感覚、平衡感覚などの情報をもとに、身体がバランスをとって円滑に動くように調節を行います。

脳幹

中脳(きょう)、延髄、間脳を合わせて脳幹と呼びます。

脳幹には中枢神経系を構成する重要な部位が集まっています。脳幹の機能が全て失われた状態が「脳死」となります。

脳幹は、呼吸、血液循環、体温調節などのコントロールセンターとして、生命維持に不可欠な機能を調整しています。さらに、全身の知覚や運動の情報を大脳と中継する役割も担っています。

脳梁

脳梁とは

Q
脳梁とは?
A

脳梁とは、脳の左右の、大脳半球を連絡する大脳交連線維の太い束をさします。

脳梁は、約2億本の神経線維を持ち、長軸方向約に8cm と前後に細長い構造をしています。

脳梁の損傷と高次脳機能障害

脳梁が傷つくと、両半球間のコミュニケーションが途絶えて、

  • 左手の失行
  • 左手の失書
  • 左手の触覚性呼称障害
  • 左手の触覚性失読
  • 左視野の呼称障害
  • 左視野の失読
  • 左耳の言語音消去
  • 右鼻の嗅覚呼称障害
  • 右手の構成障害
  • 右手の反応や言語反応での左半側空間無視
  • 拮抗失行
  • 他人の手徴候
  • 道具の強迫的使用
  • 左右手の協調運動障害
  • 意図の拮抗
  •  AgonistiC dyspraxia
  • 脳梁性吃音・構音障害
  • 記憶障害

などの高次脳機能障害が生じることがあります。(「脳梁および近傍領域損傷による高次脳機能障害」脳神経外科ジャーナル 18巻3号())

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