交通事故の示談書にサインをすると、どのような効果が生じるのでしょうか?示談書に一度サインをしてしまうと、ひっくり返すことはできないのでしょうか?
示談書にサインをすることの効力についてご説明したうえで、一度成立した示談を覆(くつがえ)すことができる場合についてもご紹介いたします。
示談書の効力
そもそも、「示談書」とは何なのでしょうか?
「示談書にサインする」ということは、「示談書に書かれている内容で合意したことに間違いありません」という宣誓をすることを意味します。相手方の保険会社はその金額通りの賠償金を支払う義務を負います。
示談書は、「示談書に書かれている内容で合意したことに間違いない」ということの証拠になります。このため、もし万が一サインした後になって、「治療費の金額が間違っている」「慰謝料の金額が安すぎる」ということが判明したとしても、ひっくり返すことはできません。
示談書に書かれた内容は、双方が守らなければいけません。相手方がその金額を支払わなければいけない代わりに、こちら側はその金額以上の賠償金を請求することはできなくなります。このため、「示談書の内容が間違っている」ということが判明した場合でも、示談書の内容をそのまま遵守しなければいけないのが原則です。
例外的にひっくり返すことができるケース
示談書にサインした後になって「間違いがある」と判明した場合でも、ひっくり返すことができないのが原則です。しかし、ごく稀なケースとして、示談書にサインした後に示談交渉をやり直すことができることがあります。
示談をやり直すことができるケースとは、どのような場合なのでしょうか?
予測不可能な後遺症が生じた場合
交通事故の後遺症は、怪我の状況によって様々です。事故の直後から症状が出ることが一般的ですが、ごく稀に、示談書にサインした後になって症状が発現することがあります。
このような後遺症が生じることは、示談書にサインをする時点では予測できないことです。このような予測不可能な後遺症について追加請求できないとすると、被害者が自分で治療費を負担しなければならず、被害者の方にとって極めて不合理な結果となってしまいます。
そこで、裁判所は、「示談が成立した時点で予想できなかった症状」については、示談後であっても追加請求することを認めています。
この理由について、裁判所は下記のように述べています。
”全損害を正確に把握し難い状況のもとにおいて、早急に小額の賠償金をもつて満足する旨の示談がされた場合においては、示談によつて被害者が放棄した損害賠償請求権は、示談当時予想していた損害についてのもののみと解すべきであって、その当時予想できなかった不測の再手術や後遺症がその後発生した場合その損害についてまで、賠償請求権を放棄した趣旨と解するのは、当事者の合理的意思に合致するものとはいえない。”
最高裁昭和43年3月15日第二小法廷判決
つまり、「示談当時に予想していた損害」については、示談成立後にひっくり返すことができないものの、「示談当時に予想できなかつた不測の再手術や後遺症が発生した場合」には、その治療費や慰謝料を請求できるということです。
なお、「示談当時に予想できなかった不測の症状が生じた」という立証は非常に難しく、原則として、示談をひっくり返すことは困難と考えていたほうが良いでしょう。医学的な知識や交通事故の専門知識が必要となります。予測不可能な症状でお悩みの方は、交通事故を弁護士にご相談されることをお勧めいたします。
被害者の無知に乗じて不当に安い金額で示談を成立させた場合
保険会社が示談のノウハウに長けている一方で、初めて交通事故にあう被害者の方は、示談の方法や賠償金の相場について知識がありません。このため、保険会社が被害者の無知や窮状につけこんで、不当に低い賠償金で示談を成立させようとすることがあります。
一般的な相場よりも安い金額で示談を成立させてしまったとしても、ひっくり返すことはできないのが原則です。残念ながら、これが法律実務の現状です。しかし、保険会社の手段があまりに悪質であり、相場よりも著しく低い金額で示談が成立した場合には、錯誤無効や公序良俗違反(民法90条)として示談交渉を一からやり直すということも簡単ではありませんが、可能性としてはゼロではありません。
示談書にサインする前に弁護士にご相談ください
今回は、示談書の効力と示談をやり直すことができるケースについてご説明しました。示談書に一度サインしてしまうと、示談書に書かれた内容を遵守しなければいけません。後になってやり直すことができるケースは限られています。将来的に後悔しないためにも、示談書にサインする前にきちんと示談書の内容をチェックしておきましょう。
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弁護士にご相談したうえで、「この示談書にサインしても大丈夫そうだ」とお考えになった場合は、弁護士に依頼することなく、ご自身で示談の手続きを進めることができます。弁護士のチェックを受けていれば、安心して示談書にサインすることができます。
もしも「この示談書の金額は低すぎるので、このままではサインできない」とお考えになった場合は、ご自身で保険会社と交渉をすることができますし、当事務所の弁護士にご依頼していただくことも可能です。
当事務所では、交通事故のご相談をお問い合わせフォームで受け付けております。お電話でのご予約も可能です。「示談書にサインをする前に、金額に問題が無いかどうかチェックしてほしい」というお客様は、ぜひ一度無料相談をご利用ください。
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