訴訟や調停を申し立てるときには「裁判管轄」が非常に重要です。管轄を間違えると、せっかく申立をしても受け付けてもらえない可能性が高いので注意しましょう。
裁判管轄とは何か、地方裁判所と簡易裁判所、家庭裁判所の違いなどを解説します。
裁判管轄とは
- 裁判管轄とは?
裁判管轄とは「どの裁判所が事件を担当するか」に関する法的なルールです。
すべての事件について裁判管轄が決まっており、異なる裁判所では審理をしてもらえません。訴訟や調停などの事件を申し立てるときには、正しい管轄の裁判所に書類を提出する必要があります。
間違った裁判所へ申立をすると、受け付けてもらえないか正しい管轄の裁判所へ「移送」されます。
移送とは
- 移送とは?
移送とは、裁判所の判断で別の適切な裁判所へ事件が送られることをさします。
移送されると、移送先の別の裁判所で審理が行われます。
裁判管轄の具体例
たとえば交通事故の損害賠償請求や未払い家賃の請求を行う場合、140万円を超えていたら地方裁判所で提起しなければなりません。140万円以下なら簡易裁判所が管轄します。
また裁判管轄には「土地管轄」といって、「地域ごとの管轄」もあります。
基本的には被告(相手方)の住所地の裁判所に管轄が認められますが、それ以外の裁判所に管轄があるケースもあるため、申立時には事件の種類に応じた法的な知識が必要です。
地方裁判所、簡易裁判所、家庭裁判所の違い
地方裁判所と簡易裁判所、家庭裁判所は何が違うのか、みてみましょう。
地方裁判所と簡易裁判所の違い
地方裁判所と簡易裁判所の違いとしては、「請求額」があげられます。
140万円以下の請求なら簡易裁判所ですが、それを超える場合には地方裁判所に管轄が認められます。
刑事事件の場合、基本的に「罰金刑が適用される犯罪」については簡易裁判所、「罰金刑のない事件」については地方裁判所が管轄します(ただし高裁が第一審を担当する事件は除かれます)。罰金刑と懲役刑(禁固刑)の両方がある罪については、簡易裁判所でも地方裁判所でもどちらでもかまいません。
家庭裁判所は「人事」に関する事件を扱う
家庭裁判所は離婚や遺産分割、子の氏の変更許可、認知請求などの「人事」に関する事件を取り扱います。離婚調停や離婚訴訟、遺産分割調停や審判などは家庭裁判所で申し立てなければなりません。
たとえば配偶者の不貞によって離婚する場合、離婚訴訟は家庭裁判所で審理しますが、不貞相手への「慰謝料請求訴訟」は地方裁判所が管轄となります。このように家庭裁判所と地方裁判所の両方へ別々の申立が必要となるケースもあるので、注意しましょう。
訴訟や調停をスムーズに進めるには裁判管轄についての理解が必要不可欠です。迷われたときにはお気軽に弁護士までご相談ください。


弁護士法人サリュは皆様と共に歩んで18年以上。安心してご依頼いただける弁護士法人です。

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