ドライブレコーダーの映像は交通事故の強力な証拠になります。

ドライブレコーダーとは、車を運転する様子を映像で記録してくれる装置です。運転中の映像を常時撮影してくれるだけでなく、停車中に大きな衝撃を感知した場合に前後10秒〜20秒の映像を記録してくれる等、様々な機能を搭載したものがあります。メーカーによっては、前方の映像だけでなく、後方や側方の映像を記録してくれます。

ドライブレコーダーの映像を確認することによって、交通事故の状況を客観的に分析することができます。

このため、警視庁国土交通省では、各車両にドライブレコーダーを取り付けることを積極的に推奨しています。しかし、ドライブレコーダーを搭載している車両は、現時点では半数以下です(国土交通省発表の調査)。この記事を読んでいる方の中にも、まだドライブレコーダーを設置していない方がいらっしゃるのではないでしょうか。

それでは、ドライブレコーダーを付けた場合、具体的にどのように役立つのでしょうか?交通事故に巻き込まれた際には、裁判示談交渉においてどのような法的効果があるのでしょうか?

今回は、ドライブレコーダーの映像が交通事故の示談交渉や裁判においてどのように使われているのかを紹介しながら、ドライブレコーダーの重要性について解説します。

ドライブレコーダーの映像は交通事故の重要な証拠となる

ドライブレコーダーの映像は、下記のケースにおいて重要な役割を果たします。

①過失の認定に役立つ

ドライブレコーダーの映像を見ると、衝突した車両の進行方向や速度、衝突した角度、周囲の歩行者の進行方向等を、客観的に把握することができます。このため、「過失割合」の認定に役立ちます。

「過失割合」とは、事故が発生した原因がどちらにどれだけあるのかを示す割合です。

「過失」とは、不注意のことです。動いている車両同士が衝突した場合は、どちらか一方に全面的な責任があると認定されるケースは少なく、双方に過失があると認定されることが一般的です。例えば、「Aさんの責任が80%で、Bさんの責任が20%」というように、それぞれの責任の割合が認定されます。

お客様に何パーセントかの過失が認定されると、その分だけ賠償金が減額されます。例えば、お客様が事故によって100万円の損害を被った場合、お客様の過失が20%だとすると、過失相殺として20万円が減額されます。

100万円(損害額) × 20%(お客様の過失) = 20万円 (過失相殺として減額される金額)

結果として、お客様が受け取る賠償金は80万円になります。

100万円(損害額) – 20万円(過失相殺) = 80万円(相手方から支払われる賠償金)

このように、過失割合のパーセンテージによって、お客様が受け取る賠償金は大きく変動します。つまり、過失割合の交渉は、示談を進めるうえで大きなポイントとなります。このとき重要となるのが、「事故が起きた瞬間の映像記録」です。ドライブレコーダーの映像によって相手方の過失を立証することができれば、その後の交渉をお客様にとって有利な方向に進めることができます。

反対に、ドライブレコーダーのような客観的な記録が無い場合は、話し合いが平行線となり、争いが長引くおそれがあります。

ドライブレコーダーの映像が無くても、防犯カメラの映像を証拠とすることもできますが、事故現場に防犯カメラがあるとは限りません。また、目撃者の証言を証拠とする方法もありますが、目撃者が正確な証言をしてくれるとは限りません。時間の経過と共に目撃者の記憶は薄れていくため、裁判の際には記憶が曖昧になっているおそれがあります。

これに対して、ドライブレコーダーの映像は、嘘を付くことがありません。時間の経過とともに記憶が薄れることもありません。また、ドライブレコーダーの映像は、事故後にすぐに確認することができ、いつでも証拠として提出することができるという利便性も備えています。

②損傷部位を立証することができる

交通事故の裁判では、「どこをどのように損傷したか」が争いになることがあります。

例えば、事故によって車の前方にへこみが生じた場合に、その修理代を相手方に請求すると、相手方が「横から衝突したのだから、前方の傷は今回の事故には関係が無い。事故の前からあったものだ」と反論してくることがあります。

このような場合に、ドライブレコーダーの映像を見ると、衝突した部位や角度、衝撃の度合いを確認することができます。このため、「この傷は事故によって生じたものである」と証明することができます。

相手の車両がウインカーを出していたのかどうか、また相手が信号を無視したのかどうか等、相手が嘘をつくこともありますが、これもドライブレコーダーがあれば、相手の嘘を封じることができます。

また、交通事故で怪我を負った場合にも、「今回の事故で怪我をしたのか」ということが争いになることがあります。

例えば、事故によってむちうち損傷になった場合は、「事故の際に頸部に強く衝撃を受けた」ということを立証する必要があります。

ドライブレコーダーが車内の映像を記録していれば、その映像だけで頸部の衝撃を立証することができます。映像が無い場合は、医師の診断書MRI等の医療記録を取り寄せたり、同乗者や目撃者の証言を集めなければいけません。

このように、ドライブレコーダーの映像があると、お怪我を負った箇所や車両の損傷部位を立証する証拠として効果的な役割を果たします。

③ひき逃げ犯・当て逃げ犯を突き止める重要な証拠となる

ひき逃げや当て逃げに遭った場合、加害者の氏名や住所が分からないため、加害者に対して損害賠償を請求することができません。とっさに犯人の車両のナンバープレートをメモすることができれば、有力な証拠となりますが、運転中にメモを取ることは困難です。また、事故で気が動転してしまうと、ナンバーを見る余裕すら無いかもしれません。

ドライブレコーダーを搭載していれば、犯人の車両のナンバープレートが写っている可能性があります。ナンバープレートが写っていなくても、犯人の車両の色や車種、運転手の髪型や体格、服装等が写っていれば、警察が犯人を探すための重要な手がかりとなります。

お客様が安全運転を心がけていれば、交通事故に遭う可能性は低くなりますが、当て逃げやひき逃げに遭遇するリスクはゼロではありません。このような場合に備えてドライブレコーダーを搭載しておくと、いざ事故に遭ったときに貴重な証拠となります。

交通事故でお悩みの方はお気軽にご相談ください

今回は、ドライブレコーダーの映像が交通事故の裁判や示談交渉においてどのように使われているのかについてご説明しました。ドライブレコーダーの映像があると、交通事故の重要な証拠として活用することができます。

ドライブレコーダーの映像があるが、どのように使ったら良いのか分からない」というお客様は、いつでも当事務所にご相談ください。

また、「ドライブレコーダーの映像が無いため、過失割合について揉めている」というお客様からのご相談も受け付けております。

当事務所では、日頃から交通事故に力を入れて取り組んでおり、交通事故の研修や勉強会等を定期的に開催して研鑽に励んでおります。お気軽に交通事故のご相談に来ていただくために、弁護士による交通事故のご相談を無料で受け付けております。無料相談のご予約は、お問い合わせフォームから申し込んでいただくことが可能です。お電話でのご予約も受け付けております。交通事故でお悩みの方は、お気軽にご相談ください。